みちなるみちのく

東北180市町村を回った筆者が、あなたの知らない東北(みちのく)をご紹介します。

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ーおすすめ記事ー

東北で今一番おいしい!秋田・象潟の岩牡蠣②

夏に旬を迎える日本海側の岩牡蠣

 

前回の記事で、私が自信を持っておすすめすると書いたのが、秋田県南部象潟(きさかた)エリアで水揚げされる岩牡蠣です。

megumin1120.hatenablog.com

 

この象潟の岩牡蠣が美味しくなる理由は、実は秋田の海ではなくにあります。 

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秋田県と山形県にまたがる鳥海山。標高2238メートルの山頂付近には真夏でも積雪が残る。

美しい山の名は鳥海山(ちょうかいさん)

山すそが広いために写真では稜線がなだらかに見えますが、標高は実に2000メートルを超えます。

秋田と山形の県境に位置するために古くから両県で親しまれ、秋田県では「秋田富士」、山形県では「出羽富士」とも呼ばれます。

象潟はこの鳥海山からほど近い場所にあり、登山道の入り口の1つに「象潟口」があります。

 

鳥海山が秋田の海に与えるのが、「水」の恵みです。

鳥海山には冬の間、日本海を吹き渡る冷たい季節風によって、大量の雪が降り積もります。

多いときで30メートルにも達する積雪は、春を迎えると雪解け水となり、山肌にしみ込みます。

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春の鳥海山。田んぼに水を張る頃にはまだ雪が多く残り、初夏にかけて次第に解けていく。

地中にしみ込んだ水は、すぐには流れ出てきません

鳥海山を覆うように繁るブナの森の根っこと豊かな土壌が、水を優しく蓄えます。

その期間、およそ数百年

長い長い年月をかけて土の中を旅し、やがて地上に湧き出します

伏流水です。

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実は、象潟の場合、この伏流水が川を伝って海に流れ込むだけでなく、海の底からも直接湧き出ています。

これは比較的珍しいことで、山の水が直接、海に注いでいるのです。

ミネラルをたっぷり含んだ山の水は、海の生き物を育みます

象潟の牡蠣の旨みは、こうして標高2000メートル超の山から海へ、数百年にわたる水の旅の恵みなのです。

 

次回は、象潟の海とともに生きる男たちをご紹介します!