「暑い」とつぶやく体力すら奪われそうな、体にこたえる暑さが続いています。
梅雨明けした途端に襲ってきた炎暑に、皆さま体調を崩していないでしょうか。
今日ご紹介するのは、山形の家庭で夏に大活躍する「だし」と呼ばれる郷土料理です。
料理、と言っても、「だし」自体を料理として食べるというより、様々な料理にトッピングしたり混ぜたりしてアレンジするためのもので、いわば「常備菜」です。
具材は家庭によって千差万別ですが、おおむね、きゅうり、ナス、大葉、みょうが、ネギなどのみじん切りが入っています。
ぱっと見では、ただ薬味をみじん切りしただけのような印象を受けますが…、
最大のポイントは、粘り気があることです。
粘り気の正体は、昆布。
「がごめ昆布」または「納豆昆布」と呼ばれる昆布を細かくカットしたものが山形のスーパーには売っていて、これをさきほどの食材に混ぜると、あら不思議。
とろとろ、ねばねばした常備菜の出来上がりです。
あとは、醤油やめんつゆをお好みで加えて、冷や奴にトッピングしたり、お素麺の薬味にしたり、ごはんにのっけてもOK!
大葉やみょうがの香りと優しい粘り気が、減退しがちな夏の食欲をかき立ててくれます。
「だし」という名前は、「出汁」のように他の具材を引き立てることに由来しているとか、野菜を切り「出す」からだとか、諸説ありますが、はっきりしたことはわかっていません。
私は東北に住んでいた頃、JR山形駅構内にある地元産品の売り場で納豆昆布を購入し、今も少しずつ大事に使っています(使い込んでいる感のある写真で恐縮です…)。
通販でも手に入るので(今や本当に便利な時代です)、ご興味のある方はぜひ。
ちなみに、ひとくちに「山形県」と言っても、実は地方によって文化と歴史がびっくりするほど異なります。
ほとんど別の国と言っても過言でないほど。
この「だし」に関しては、主に山形市を中心とした村山地方という地方の郷土料理です。
(山形県内のそれぞれの地方とその特徴については、また別の記事でご紹介しますね!)
「だし」の解説は農林水産省のHPにも載っていますが、こんなふうに鰹節を加えても美味しそうですね!
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/dashi_yamagata.html
カルパッチョにトッピングしても美味しいということなので、近日中に試してみたいと思います!
なかなか食欲の出ない夏。
食事の量が落ちてしまうと熱中症になっていまう危険も高まるので、昔ながらの知恵が詰まった「だし」、試してみては。
【ご参考】「だし」の作り方(我が家の場合)
1.きゅうり1/2本、ナス(小)1/2本、みょうが1本、大葉5枚をみじん切りにする。
(このとき、ナスは水に浸してあく抜きをすると、混ぜ合わせたあと黒ずみにくい。)
2.がごめ昆布(納豆昆布)小さじ2を倍量の水で戻す。
3.昆布に粘り気が出てきたら、みじん切りした材料と混ぜ合わせる。
(この状態で密閉容器に入れて2~3日保存できる。)
4.食べるときに好みで醤油やめんつゆを少々加える。