前回、前々回の記事で、私が浄土ヶ浜に惹かれるきっかけとなった、ロシアからの旅人について書きました。
ロシアからの旅人を惹きつけるもの —— 浄土ヶ浜① - みちなるみちのく
ロシアからの旅人を惹きつけるもの —— 浄土ヶ浜② - みちなるみちのく
今や三陸復興国立公園のほぼ中央に位置する浄土ヶ浜へ私が実際に行けたのは、そのきっかけから約10年後のこと。
駐車場に車を停めて歩いていくと、トンネルの向こう側に、その美しい浜はありました。
本州最東端を位置取る浄土ヶ浜。
これまで他の記事でも少し触れましたが、浄土ヶ浜の特徴を形づくるのは、青い海と、独特な形の白い岩と、その上に生える松の緑です。
青い海は、近くで見ると驚くほど透明度が高いのがわかります。
2011年の東日本大震災直後はこの美しい海にもがれきが積み上がっていましたが、ボランティアなどの努力によって翌2012年には海水浴場として復活しました。
白い岩は専門的には流紋岩(りゅうもんがん)と言い、火山のマグマが外へ吹き出し急激に冷え固まったときに出来る岩石(火山岩)の1つです。
約5200万円前の白亜紀に起きた火山活動によって形成されたと考えられています。
火山岩の中でも流紋岩はもっとも二酸化ケイ素の含有率が高く、白っぽい見た目が特徴。
二酸化ケイ素の純粋な結晶は「水晶」として知られていますが、流紋岩の白さにもまた凛とした表情があります。
そして、その流紋岩の上に立つ松の多くは、岩手県の県木にも指定されている「ナンブアカマツ」。
常緑樹のため年間を通じて青・白・緑のコントラストを保ちます。
江戸時代のお坊さん、宮古山常安寺七世の霊鏡竜湖という人が「さながら極楽浄土のごとし」と表現したことから名づけられたとされる浄土ヶ浜。
信仰の対象ではない場所が、”極楽浄土”と呼ばれる所以は、ひとえにその美しさとしか言いようがありません。
その極楽を120%楽しんでもらおうと、近くには浄土ヶ浜ビジターセンターや浄土ヶ浜レストハウスが整備され、浄土ヶ浜の歴史や震災後の歩みを知り、限定グルメを味わうこともできます。
私が行ったときはウニラーメンをいただきましたが(美味しかった!)、現在も三陸の食材を使った様々なメニューを展開中です。
アクティブに楽しみたい!という方には、流紋岩が縁取る洞窟を探検できる「さっぱ船」や、
ウミネコとたわむれながら絶景を楽しめる遊覧船もあります。
なお、遊覧船のウェブサイトにもありますが、訪れる際は感染症対策・熱中症対策が必須です!
また浄土ヶ浜自体、令和元年の台風19号の影響で、現在も崩落している箇所があります。最新の情報を確認して、安全に楽しんでください。
はるばるロシアからやってきた旅人が、自分の"真ん中"を探して向かった浄土ヶ浜。
そこには、悠久の時をふと止めて造ったような、息を呑む景色があります。