みちなるみちのく

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夏の夜に舞う圧倒的あでやかさ —— 青森ねぶた祭② 「ねぶた」の魅力

前回の記事から連載で、青森ねぶた祭魅力についてお伝えしています。

megumin1120.hatenablog.com

 

【前回の内容】

1.青森ねぶた祭とは…その起源と現在

【今回の内容】

2.「ねぶた」の魅力

【次回の内容】

 3.いつでも祭を体感!ワ・ラッセ

【次々回の内容】

4.来年以降に向けて…青森ねぶた祭の楽しみ方

 

前回の記事で、青森ねぶた祭が東北三大祭りの一つであり、

毎年200万人超を動員する華やかなイベントであるだけでなく、

地元に愛され続けている生きた伝統であり、

国の登録無形民俗文化財にも指定されているとお伝えしました。

 

今回は、その祭りの主人公とも言える「ねぶた」について語ります!

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「ねぶた」には職人の魂がこもり、まるで生きているかのよう。

「ねぶた」とは、人物や想像上の生き物、あるいは歴史上の出来事や伝説を題材にデザインされた、幅10メートル前後、高さも数メートルを超えるような巨大な山車です。

夜に運行されるときは内側から明かりが灯り、「山車灯篭」と説明されることもあります。

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素戔嗚尊(スサノオノミコト)が八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治する神話をモチーフにした「ねぶた」。スサノオも大蛇も、今にも動き出しそう。

その大きさ、迫力もさることながら、細部にまでこだわったデザイン彩色は芸術としても高く評価されていて、「ねぶた」は海外でも披露された実績があります。

これだけ巨大かつ精細なものを作るには、1ヶ月や2ヶ月の作業ではとても足りません

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下絵を作り、骨組み、紙貼り、書き割り、色付け等々…、作業工程は長い。

「ねぶた」を実際に組み立てる小屋(現在は「ねぶたラッセランド」と呼ばれ、22台の「ねぶた」の制作小屋が並ぶ)での作業が始まるのは、祭り本番まで3ヶ月を切った5月頃ですが、その前から長い時間をかけて下絵作りがされています。

 

「その年の祭が終わった翌日から、次の年の準備が始まる」と言う人もいるほど、多くの時間と手間をかけて完成するのが「ねぶた」です。

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専門的な技術を要する作業を請け負う職人は「ねぶた師」と呼ばれ、私が最後に現地に赴いた2018年時点では14名。 主に師弟関係によって技と魂を受け継ぐ。

なぜ、これほどまでに大がかりなものを作るのに至ったのか…。

 

津軽藩の藩祖である津軽為信(つがるためのぶ)が京都にいた折、お盆に飾る盆灯篭の巨大なものを作らせて都の人を驚かせ、それが後に「津軽の大灯篭」として有名になったのが始まり…、という説もなくはないのですが、この伝説自体、為信の時代から200年ほど経った後に作られたものであり、現在の「ねぶた」との関連を示す根拠もないことから、やはり説得力に欠けると言わざるを得ません。

 

特定の寺や神社とのつながりがない祭りの起源を遡るのは容易ではなく、これだけ知名度の高い祭りであるにもかかわらず、多くの謎に包まれているのです。

 

 そんな謎と魅力に包まれた「ねぶた」をいつでも体感できる「ねぶたの家 ワ・ラッセ」については、次回の記事でご紹介します!