みちなるみちのく

東北180市町村を回った筆者が、あなたの知らない東北(みちのく)をご紹介します。

"美"が舞う宵の口 —— 盛岡さんさ踊り① 魅せる踊り、加わる踊り

私が大好きでたまらない東北の夏祭りを順にご紹介していくシリーズ、今週は青森ねぶた祭り秋田竿燈まつりに続いて、今日から盛岡さんさ踊りを連載でお伝えします。

 

盛岡さんさ踊りは、約2万人の踊り手1万数千個の太鼓、それに約1500本の笛が盛岡市の中央通で繰り広げる壮大なパレード

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盛岡の夏を彩るさんさ踊り。2020年は中止となったが、その輝きは褪せない。

東北の夏祭りのトップを切るように8月1日から始まり、8月4日にかけて毎晩、華麗な踊りが披露されます。

参加者は4日間で約250団体、約36,000人

2014年には「和太鼓同時演奏の世界記録」としてギネス認定され、文字通り世界一の太鼓の祭りとなりました。

 

今日・明日の2回に分けて、その魅力を思い切り語ります!

【今日の内容】1.魅せる踊り、加わる踊り

【明日の内容】2.新しき中にも伝統あり

 

 1.魅せる踊り、加わる踊り

さんさ踊りのパレードは、8月1日から4日の期間中は毎日午後6時に、盛岡市役所前からスタート。

公募で選ばれた「ミスさんさ踊り」たちの華麗な演舞を先頭に、一般参加の踊り集団や伝統さんさの集団が続きます。

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「ミスさんさ踊り」、「ミス太鼓」、「ミス横笛」がパレードを先導する。

多くの団体が踊り手を先頭に、太鼓3パートで構成されます。

それぞれが笛のメロディと太鼓のリズム、そして「サッコラーチョイワヤッセー」という独特の掛け声に乗って軽やかに舞い続けます。

このうち太鼓は直径約50センチ、重さは7キロほどありますが、その重さを微塵も感じさせない軽快な足さばき。

時折、跳ねるような動作もあるにも関わらず、少しも遅れを取ることなく一糸乱れぬ動きが続きます。

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天にも届きそうなほど高く強く打ち鳴らされる太鼓。

団体ごとに異なる衣装が登場し、色彩やデザインも楽しみの一つですが、伝統的な装束では赤・黄・紫・青・ピンク5色腰帯をつけます。

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伝統的な柄の浴衣と腰帯。腰帯は5色だけでなく7色のものもあり、色彩が踊りをより華やかに盛り上げる。

この5色には魔除けの意味が込められます。

そして、さきほど書いた「サッコラーチョイワヤッセー」という掛け声の「サッコラ」は、幸(さち)

幸せを呼ぶという意味の掛け声です。

さんさ踊りは、平穏安泰悪鬼退散願いが込められた踊りなのです。

 

掛け声とともに踊り手が優雅に舞い、太鼓が打ち鳴らされる、圧巻のパレード。 

空間にエネルギーが充満しているような、そんな感覚に包まれて、時間を忘れて見入ってしまうほどです。

でも…、ただただ太鼓と笛の音に合わせて踊って歩く、という単純な繰り返しであるはずの祭りにここまで魅了されるのは、その踊りが「魅せる」ことに徹しているからだと私は思っています。

 

例年6月頃から盛岡市内のあちこちで練習が始まるさんさ踊り。

どうすればより美しく舞うことができるか、見る人を楽しませるにはどうすればいいか。

懸命の練習が続きます。

さきほどの太鼓ひとつ取っても、太鼓の重さを感じさせないほど軽やかに踊るには並々ならぬ努力が必要ですし、そもそも何も持っていなくても全長約1キロにわたって踊り続けるだけでも体力的に負担が大きいはずですが、それでも祭りの後半だからといって手を抜いた踊りを見せることはありません

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子ども達の舞いからも「魅せる」意識が伝わってくる。幼少期のこの経験は人生の糧となるに違いない。

そこには「さんさのある街」としての誇り、盛岡市民としての強い誇りがあるように思えてなりません。

その誇りが、まさに"美"が舞う空間につながっているのです。

 

最後に…見ているだけでは物足りない!という人のために。

さんさ踊りは「来て、観て、魅せられて、加わる」お祭り。

パレード終了後、会場内の7か所のポイントで出場者たちが輪になり、その場で15分ほど踊ります。

「輪踊り(わおどり)」と言って、この時間は誰でも自由に参加することができます。会場内に次々と広がる大群舞は迫力満点です!

 

さて、盛岡さんさ踊りは昭和50年代に始まった、東北の夏祭りの中では比較的新しい祭りですが、しかしながらその踊りには古い伝説伝統が織り込まれています。

明日の記事では2.新しき中にも伝統ありをお伝えします!