台風10号の予報円がかなり小さくなってきました。
台風が予想通りの進路を通る可能性がかなり高くなってきたことを意味しています。
昨日の記事で、台風10号の北上に伴って雨量が一番多くなりそうなのは、地形の影響を受ける九州南部であること、
関東でも他人事ではなく局地的な大雨や竜巻のおそれがあること、
そして、氾濫のおそれが報道されている大きな川だけでなく小さな川も氾濫することで被害は一層大きくなる可能性があることを書きました。
megumin1120.hatenablog.com 今日は、今週のお題「もしもの備え」連載の第2回として、土砂災害について、そして備えについてお伝えします。
■目次■
1.大雨のつくりかた…台風10号予想とともに(昨日の記事)
2.川に見えない「川」も氾濫する(昨日の記事)
3.土砂災害は「意外な」場所では起きない
土砂災害とは、崖崩れや山崩れ、土石流の総称です。
過去に土砂災害で亡くなった人が、実際にどこで命を落としたのかを調べた研究があります。
実にその9割以上が、ハザードマップに載っている土砂災害の警戒区域や危険箇所、またはすぐ近く(地図上の誤差の範囲内)にいたのです。
(土砂災害の警戒区域や危険箇所というのは耳慣れない方もいると思いますが、要するに、自治体のハザードマップで色がついているところです。つまり、予め危険であることが「公表」されている場所です。)
よく報道のインタビューで「まさかここが崩れるとは」「50年住んできたけどまさかこうなるとは」と答えている人がいますが、それは人間の正常化バイアス(自分にとって都合の悪い情報を過小評価してしまう、人間の自己防衛本能)が働いているだけで、実際には土砂災害は「意外な」場所ではほとんど起きていないのです。
だからこそ、今一度、自分のいる場所や、親戚の住む場所が、土砂災害が「意外でない」場所かどうか、確認する必要があります。
かつてハザードマップは、「地価が下がる」という理由から公開されない時代が長く続きました。
しかし、現代に生きる私たちは、いつでも、無料で、自由に、利用することができます。
これを使わない手はありません。
そして、実際に土砂災害が起きそうになった場所に対しては、気象庁と自治体から、「土砂災害警戒情報」が出されることになっています。
この情報の有用性は、過去の例で証明されています。
2018年の西日本豪雨(平成30年7月豪雨)の際には、発生時刻がわかっている土砂災害のうち、死者が出たものについてはすべて、事前に土砂災害警戒情報が出ていました。
最新の情報を手に入れることがいかに重要かを物語っています。
4.一番の備えは、「普通」のこと
防災に関する仕事をしていると、よく、「おすすめの防災対策を教えて」とか、「何かすごい防災の方法ってないの?」と聞かれます。
が、一番の備えは、誰にでも思いつく、「普通」のことです。
水や電池や保存食を用意しておく、あらかじめハザードマップを見る、いざ台風が近づいたら最新の情報をこまめに確認する。
ごくごく普通の、言い方を変えれば、特段楽しくもないことを、やるだけです。
でも、それが、自分自身の命を救うことにつながります。
台風10号の影響が列島各地でもっとも大きくなるのは、明日6日(日)夜から明後日7日(月)朝にかけてです。
まず、暴風については、基本的には家から出ないことが一番安全です。
そして、洪水と土砂災害については、台風接近前にハザードマップ(おすすめは重ねるハザードマップ)を見て、もし自宅にいるのが予め危険だとわかれば安全な場所へ移動し、いざ雨が降りだしたら気象庁の危険度分布をこまめにチェックしてください。
明日の記事では、台風10号の最新情報と、私が台風に関する講演をするときによく受ける質問をもとに、その解説を掲載します。