昨日から、今週のお題「ごはんのお供」に合わせて、東北各地の個性的なお漬物をご紹介しています。
今日も「ぐるたび」の東北漬物ランキングに合わせて、偶数番目のお漬物を私なりに紹介していきます。
皆さんの故郷にもありそうなお漬物や、予想の斜め上を行くお漬物に出会えるはず…!
2位 いぶりがっこ(秋田県)
言わずと知れた「いぶりがっこ」。
最近は東京の居酒屋さんでも出すお店が増えましたし、「いぶりがっこタルタル」のように調味料としてカルディなどで売っているのをよく見るようになりました。
簡単に言えば、大根のお漬物を煙で燻したもの。
米糠の優しい甘み、燻製の香ばしさ、そして漬物本来の塩気がマッチした、たまらない味です。
初めて食べたときは本当に感動しました!
東京でちょっとしたブームになったことで、秋田県では「いぶりがっこ」の出荷量が急激に増えて、いぶりがっこ用の大根が不足したこともあったくらいです。
ちなみに、「ぐるたび」の説明では「大館・能代」地域となっていますが、県北の大舘・能代だけでなく、県南でも日常的に食べてられています。
また、「囲炉裏の煙で燻して…」とありますが、現代の家庭で囲炉裏があるところはほとんどないので、実際には燻煙乾燥のための小屋で生産されています。
4位 芭蕉菜漬け(岩手県)
芭蕉菜(ばしょうな)とは、前回の記事に登場した青菜(せいさい)と同様、高菜の仲間で、辛味が強いのが特徴。
芭蕉の木(バナナの一種、庭園に観賞用として植えられることがある)に葉の形が似ていることから、こう呼ばれるようになったと言われています。
この芭蕉菜を醤油・みりん・塩などでシンプルに漬けた芭蕉菜漬けは、色が鮮やかで食感もよく、ご飯を巻いても良し、お茶漬けにしても良し。
なお、芭蕉菜と呼ばれる葉物野菜は東北の各地に存在しますが、それぞれ品種は違います。
比較的有名なものに仙台芭蕉菜がありますが、これはナタネの一種で、岩手の芭蕉菜と違い辛味は強くありません。
6位 金婚漬け(岩手県)
(写真リンク元:岩手銀河プラザHP)
大根やにんじん、しそ、ごぼうなどを昆布で巻いて、瓜の芯をくり抜いたところへ詰め込んだあと、味噌やもろみに漬けたもの。
かなり手の込んだお漬物ですよね!
そして、巻き寿司のように美しい。
時間が経てば経つほど味に深みが出て美味しくなることから、名づけられました。
花巻を中心とした地域でよく食べられています。
8位 しそ巻梅漬(しそ巻き杏漬け)(青森県)
名前は「梅」ですが…、これもやっぱり、昨日ご紹介した梅漬けと同様、アンズで作ったものが多い気がします。
そのくらい、青森県内では本物の梅の加工品と同じくらいかそれ以上に、アンズの加工品が多く流通しています。
「あんず梅」という商品もあるくらいで、あまり区別する意味もないかもしれません。
赤じその葉にアンズを包んで漬けたもので、梅漬けと同じように、ごはんのお供にもおやつにもなります。
基本的には甘く漬けたものが多いので、アンズ本来の酸味とあいまって、ほんのり甘酸っぱい味が大好きです。
10位 でごづげのけんちん(山形県)
「でごづげ」とはたくあんの古漬けのことで、「大根漬け」がなまった言葉だと考えられています。
漬けてから時間が経って、そのまま食べるにはちょっと…という感じのたくあんを、炒めたもの。
大抵の場合は油で炒めて、最後にお醤油を加えます。
仕上げに七味唐辛子を振りかけたりすると、ご飯もお酒も進む一品に。
山形県の庄内地方を中心に今でも食べられています。
というか、お漬物そのものではなくお漬物のリメイク料理が「でごづけのけんちん」なので、これが「漬物」のカテゴリーで順位付けされているのは若干納得がいきませんが…(笑)
ちなみにすべての山形県民が「でごづげ」と呼ぶわけではなく、普通に「たくあん」と呼ぶ人も多いですし、このリメイク料理も「たくあんのけんちん」と呼ぶ人もいます。
ともあれ、雪に閉ざされる長い冬の間、すべての食べ物を有効活用しようとする、昔からの知恵であることに変わりはありません。
昨日・今日と連載で、東北各地の個性的なお漬物をご紹介してきました。
現代では真冬であってもスーパーやコンビニに行けば様々な食べ物が手に入りますが、特に日本海側を中心に吹雪が何日も続くと買い物に行くのは大変なので、やっぱり昔ながらの保存食は重宝します。
ネットショッピングや各地のアンテナショップで地方の特産品が手に入りやすくなっているこの頃ですから、ぜひみちのくの空を思い浮かべながら、味わってみてください!