みちなるみちのく

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意外と見つかる!?「レア現象」 ―― 空を見上げてみれば

今週のお題「自分にご褒美」ですが、美味しいものを食べる、大好きな小説を夜通し読み続ける…だけでなく、何もしないでじっと空を眺める時間を作ってあげるのも、ご褒美かもしれない、と思うのです。

 

そんなご褒美タイムの間に、もしかしたら、空に不思議な現象を見つけるかもしれません。

なぜなら、よく「レア現象」と呼ばれる空の現象の多くは、実はそこまでレアでもなくぼーっと空を見ていると発見できるものだからです。

たとえば、こちら。

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水の粒で出来た雲が描く、彩雲(さいうん)。

「彩雲(さいうん)」という現象で、雲に含まれる小さな水の粒によって、太陽の光が回折(かいせつ)することで虹色に見えるもの。

回折というのは、光が進む際にその進路を邪魔するもの(ここでは水の粒)を避けるように回り込む現象です。

太陽の光には七色の光が含まれていますが、その色によって回り込むときの角度が少しずつ異なるために、色が分かれて虹色に見えるという仕組みです。

この彩雲、そんなに珍しくない現象で、私自身はほぼ毎日見ていますが、世間では「レア現象」扱いされています。

というのも、よくネットでは下図のように非常に鮮やかな写真も挙げられていますが、実際の見た目は上図に近く、慣れていない人がぱっと見ただけでは気づけないからです

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デジカメなどで色の差を強調して撮影すると、このくらい鮮やかでくっきりした彩雲が撮影できる。

つまり、本当はそこにあるのに、発見してもらえないだけ

そのため、何もしないでぼーっと空を見ていると、比較的気づきやすいのです。

ほかにも、こちら。

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日暈(ひがさ)またはハロと呼ばれ、ハロ(halo)が後光の意味を持つように、太陽に後光が差しているように見える。

太陽の周りに細い輪っかが見える現象で、日暈(ひがさ)ハロと呼ばれます。

この写真では下半分が山に隠れていますが、太陽をぐるり一周して完全な円になっていることも。

輪は白っぽく見えることもありますが、この写真のように虹色になることもあります。

雲の中に含まれる小さな氷の粒によって、太陽の光が屈折されることで現れます。

そして、日暈と似たようなメカニズムで発生するのが、こちら。

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太陽と、その右側に幻日(げんじつ)。実際には太陽の左側にも、同じ間隔で現れることが多い。

幻の日(=太陽)と書いて、「幻日(げんじつ)」です。

やはり雲の中に含まれる小さな氷の粒によって、太陽の光が屈折されることで現れます。

さきほどまでの彩雲や日暈はあまり時間帯を選ばず出現しますが、こちらの幻日は朝や夕方、つまり太陽の位置が低い時間帯にのみ見られます。

太陽のある方角を向いて、太陽よりもてのひら1つ分くらい右と、同じくてのひら1つ分くらい左に、それぞれ小さな太陽のような光が見えるのが特徴です。

(雲の位置などの条件によって左右のうち片方しか見えない場合もあります。)

幻日も日暈同様、白っぽく見えるときもあれば、虹色に見えるときもあります。

虹色に見えたものは短い虹と間違われたり、彩雲と間違われるときもありますが、メカニズムとしては別のものです。

(虹→太陽光が空気中の雨粒で屈折、彩雲→太陽光が雲中の水の粒(=雨粒よりだいぶ小さい)で屈折、幻日→太陽光が雲中の氷粒で屈折)

日暈や幻日が現れるのに必要なのは、空高いところにできる薄い雲です。

大まかな必要条件は似ていて、細かい要素が異なるだけなので、日暈と幻日は同時に出現することがあります。

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日暈と幻日が同時に見えている状態。日暈の一部、太陽の真右と真左にあたる場所、他より明るく見えている部分が幻日。

日暈と幻日は、もちろんそれほど珍しくないものの、彩雲と比べると少し出現頻度が下がります

というのも、太陽の近く都合よく薄い雲がかかる必要があるためです。

ただ、空に浮かぶ雲は、絶えず風に流れ、時々刻々と姿を変えていきます。

そのため、やはりぼーっと空を見ていると、たまたま「都合よく」薄い雲がかかるタイミングに出会いやすいのです。

ほかにも、今回の記事では説明しきれませんでしたが、このような光のいたずら(専門的には光学現象といいます)はほかにも色々あります。

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大粒の雨が降ったあと、二重の虹が見えることがある。
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(左)環天頂アーク、(右)環水平アーク。なお、環水平アークは太陽高度が高い時期しか現れないので、今の季節は見ることができない。

あくせくした日常の中ではなかなか気づいてあげられない、光の現象たち。

自分の心にちょっとだけ余裕をプレゼントしたら、あなたも出会えるかもしれません。