きょう1月5日は二十四節気の一つ、小寒(しょうかん)。
暦の上で寒さが本格化する頃とされていて、「寒の入り」とも言われます。
地域によりますが、この時期から、年賀状のお返しは次第に「寒中見舞い」に変わっていきます。
二十四節気は、小寒のあと「大寒」、そして「立春」と続きますが、小寒から立春の前
日の「節分」までの約1ヶ月間が、一年でもっとも寒い期間、「寒中」や「寒の内」と呼ばれる期間となります。
この期間には古くから、その年の農業の行方を占う言い伝えがあります。
たとえば、小寒から4日目は「寒四郎」と呼ばれ、麦の厄日とされてきました。
この日に晴れると麦が豊作になり、雨だと凶作と言われていたのです。
一方で、小寒から9日目に雨が降ると「寒九(かんく)の雨」と言われ、その年は(全体的に)豊作になるという謂れもあります。
天気予報も何もない時代、どうにかして将来の見通しを立てたいという切なる思いが垣間見られます。
(ちなみに、上の図を見て「あれ?節分が2月3日じゃない!」と思った方がいるかもしれませんが、立春が2月3日、今年は節分が2月2日です。立春や春分、夏至などは毎年、国立天文台が太陽と地球の位置関係を基準に決めていて、基本的には立春は2月4日になりますが、今年は37年ぶりに日付けが変わることになります。)
また、「寒中」に気温が低くなることを利用して、古くから、「寒仕込み」や「寒造り」といって、様々な食品の加工が行われてきました。
たとえば、味噌は気温が低いことで発酵が適度にゆっくり進むと言われています。
また素麺は、通常は塩を加えて作りますが、気温の低いこの時期は塩を減らしても細く長く作れるために、「寒中」に甘みのある素麺を仕込む地域があります。
日本酒については、古い時代には一年を通して作られ、四季醸造と言われましたが、次第に寒い時期に一番おいしくできるとわかったことと、江戸時代半ばには、いい時期に作ったお酒をその後も貯蔵しておく技術ができたことで、寒造り、つまり冬につくられるようになりました。
寒い時期に美味しくつくれるのは、発酵に必要な菌だけが働いて、そのほかの雑菌が活動しないためだと考えられています。
そして現代では、空調で温度をコントロールできるため、再び年間を通じて仕込みをするようになっています。
昔から多くの人が美味しいものを追求して厳しい寒さの中でも試行錯誤を繰り返してくれたおかげで、私たちは今、より美味しいものを食べることができています。
一年で最も寒いこの季節、先人に感謝しながら美味しいものをしっかり食べて、健康に乗り切りたいですね。