お酒が美味しいと感じるのは大人(成人)になったときではなくて、「働く大人」になったとき、というのはよく言ったもので、中でも最初にビールが旨くなり、だんだんと焼酎や日本酒の味を覚えていく人が多いのではと思います。
今週のお題が「大人になったなと感じるとき」ですが、新しいお酒の味を覚えるたびに、「大人になったな」と思ったりもします。
(ちなみに私は日本酒→焼酎→ワインの順で、ビールが最後でした。)
今日ご紹介したいのは、日本一小さな蒸留所で大切に大切に作られている、美味しい焼酎のお話です。
福島県の西の端、奥会津と呼ばれる地域の、新潟との県境に位置する山あいに、只見町(ただみまち)という豪雪で知られる町があります。
(公式Facebookより、2021年元日の様子)
真冬の積雪が例年数メートルに達するこの地域には、清らかな雪解け水と、山に守られ夏に冷たい風「やませ」が吹かないことで品質が保たれる美味しい米があります。
もともと酒蔵のなかったこの町に、「買って帰ってもらえる特産品」を作ろうと、農家の空き家を改造して米焼酎の蒸留所が作られたのが2016年。
焼酎の蒸留所としては日本一小さい蒸留所「ねっか」の誕生です。
私が「ねっか」に出会ったのは、彼らが焼酎を製造する免許を取得した翌年の2018年。
福島県内の道の駅で買ったその米焼酎に心底惚れ込んで、その後、都内で限定品「雪中貯蔵酒」を見つけたときは迷わず購入したほどでした。
米焼酎と聞くと、熊本県の人吉盆地で作られる球磨焼酎がよく知られているでしょうか。
ジャンルとしてはさほど珍しものではなく、新潟の「八海山」や山形の「十四代」など全国的に有名な酒蔵も米焼酎を生産しています。
一般的に、日本酒に似た芳醇な香りが特徴で、蒸留されている分、日本酒よりもすっきりした味わいになり、ごはんや様々な料理と相性抜群。
個人的には、芋や麦の焼酎よりも、好き嫌いが分かれにくいと感じています。
「ねっか」の焼酎は、蔵人自らが育てた米と、美しい森で湧き出る水で作られています。
基本的に日本酒の製法にのっとり、日本酒の吟醸酵母や清酒用の麹菌を使って発酵。
出来たもろみをそのまま絞ると日本酒ですが、それを蒸留したのが米焼酎です。
同じ材料から日本酒を作る場合と比べ、半分程度しか生産できない、贅沢な飲み物。
美味しくないわけがありません。
(公式Facebookより)
ちなみに「ねっか」の製品は今、オンラインショップでの送料が無料になっています。
(2021年1月末まで、ただし福島県の支援上限額に達し次第終了とのこと。)
「ねっか」とは、この地域の言葉で「ぜんぜん」「まったく」という意味で、地元でよく使われる「ねっかさすけねぇー(ぜんぜん問題ないよ!)」という前向きなフレーズに由来した名前です。
厳しい冬を味方につけて、たくましく育まれる焼酎は、美味しいだけでなく、飲む人に元気を分けてくれそうです。