2月のことを古くからの日本語で「きさらぎ」といいます。
漢字の「如月」は中国から伝わってきたものですが、普通に読めば「にょげつ」となるところを「きさらぎ」という読みを当てたのは、日本で古くからこの時期を「きさらぎ」と呼んでいたためです。
つまり、文字(書き言葉)としての「如月」は中国由来、音(話し言葉)としての「きさらぎ」は純和風ということになります。
その「きさらぎ」の由来には、様々な説が存在します。
たとえば、まだまだ寒くて重ね着をする時期だから、「着更着」ということで「きさらぎ」。
あるいは、だんだんと気候が陽気になる頃だから、「気更来」ということで「きさらぎ」、という説もあります。
さらには、草木が生える頃なので「生更木」だとも言われています。
諸説あれど、いずれも2月のイメージに合うような感じがして、冬から春へと向かうこの時期の感覚を日本人のDNAとして受け継いでいるのだなぁと実感します。
一方で、来週月曜日から始まる3月は、文字と音が一致している古称を持ちます。
「弥生」という言葉は、昔から「いやおい」または「やよい」と読まれてきたもの。
「弥生」の「弥」は、「いやがうえにも」の「いや」と同じで、「いよいよ、ますます」という意味です。
「弥生」の「生」は「生える、生い茂る」という意味なので、2文字合わせると、草木などが「ますます生い茂る」頃、となります。
まさに3月、強まる日差しと暖かな陽気に後押しされて、木々や草花が一斉に育っていく様が、絶妙に表現されているのです。
植物の息吹を感じる瞬間の一つが、桜の開花ではないでしょうか。
今日2月24日夕方に発表された日本気象協会の開花予想では、福岡が3月18日、東京が3月21日と、あと1か月足らずで開花する見通しになっています。
いずれも平年より5日ほど早い予想です。
そして、仙台は4月8日、札幌は4月26日と、北日本の各地はなんと平年より1週間ほど早い予想。
今年の桜前線はかなり駆け足で北上していく見通しです。
桜の仲間は日本では街路樹として2番目に多く植えられていますから、皆さんの周りでも探してみるときっと見つかると思います。
今週は「寒の戻り」を感じる日が多いですが、来週、「弥生」が始まると同時に一気に気温が上がって、各地の桜も、固く閉じた冬芽の先から赤みを帯びた花芽がそっと顔を出すかもしれません。