今日3月5日は二十四節気の一つ「啓蟄(けいちつ)」。
二十四節気とは春分や夏至など、一年を24つに分けた季節の区切れ目です。
「この暦のころには自然界でこういうことが起きる」といった目安になるもの。
ただ、以前ある新聞社が行った二十四節気の知名度アンケートでは、二十四の節気の中でも啓蟄の知名度はかなり下の方で、一般的にはあまり知られていないようです。
馴染みが薄い原因の一つは、漢字が難しいことかもしれません。
「啓蟄」の「啓」は、「開く」という意味。
「啓発」(知を開く)や「啓開」(道などが通れるように切り開く)という言葉にも使われる漢字ですが、あまり日常の会話では使わないですね…。
さらに、「蟄」の方はもっと使わない漢字。
虫などが土の中などに「こもる」という意味を持ち、たとえば「蟄居」(家にこもって外に出ないこと)などに使われる漢字です。
「蟄居」自体、今では時代劇くらいでしか聞かない単語ですが…(よく何かに失敗して上司の怒りを買った武将とかが自分のお城に「蟄居」させられています)。
そんなわけで、「啓蟄」は、「冬の間土の中にこもっていた虫などの生き物(動物・植物)たちが、暖かくなって外に出てくる頃」という意味になります。
意味はわかってもやっぱりイメージがわかない、という人にとってもわかりやすい例は「つくし」かもしれません。
冬の間じっと息をひそめて、まさに"土の中にこもっていた"つくしの芽が、ちょうど今ぐらいの季節にひょっこり顔を出します。
また、カエルやヘビなどの冬眠する生き物も土の中から出てきますし、冬の間は木の葉の裏に集団でかたまって過ごすテントウムシも、そろそろ姿を見せ始めます。
様々な生き物たちが動き出す「啓蟄」の時期。
言葉の存在感は薄くても季節が確実に前進する、大きな区切れ目です。