毎年3月、本州各地でソメイヨシノの開花の便りが聞こえる頃、まだ雪の残る地域が多い東北で、一番乗りに開花する桜があります。
常磐共同火力(株)勿来発電所の河津桜が、5分から場所によっては8分程まで開花しています。来週半ばには見頃を迎えそうです。河津桜は桜の中でも早咲きの品種で、ソメイヨシノより先に開花します。いよいよいわきにも河津桜の季節がやってきました!#いわき市桜情報2021 #空ネット #いわき市 pic.twitter.com/Gyo2CW1ELG
— いわき市総合観光案内所 (@kankouiwaki) March 7, 2021
福島県いわき市にある常磐共同火力(株)勿来発電所の敷地内に植えられている河津桜です、
一般の人でも桜を見ることができて、県民含め関心が高いためか、いわき市観光サイトでは今この桜を紹介するページがアクセス数1位の項目になっています。
例年、濃いピンク色の花が次々とほころんでいく姿を見ることで、まだまだ寒いものの「あぁ、長い冬にもちゃんと終わりがあるんだなぁ」と実感した記憶があります。
いわき市は福島県浜通り(沿岸部)の最南端、温暖な気候から"東北のハワイ"とも呼ばれ、映画「フラガール」で一躍有名となったスパリゾート「ハワイアンズ」もあります。
市内では冒頭の勿来発電所のほかにも21世紀の森公園でも河津桜が咲き、東北のどこよりも早く"春"を演出します。
昨日撮影した21世紀の森公園の河津桜🌸
— いわき市総合観光案内所 (@kankouiwaki) March 21, 2021
すでに葉が出始め、花びらが舞っています。
今年は開花時期が早かったものの、気温の乱高下と暴風雨の日が2度あり、本日のお天気でさらに落花が盛んとなるでしょう。
来年は満開時期が長く楽しめるといいですね。#いわき市桜情報2021 #空ネット pic.twitter.com/oESQjTafMy
河津桜はいわきに限らず全国のあちこちで早咲きの桜として植えられていますが、もともとは静岡県の河津町(かわづちょう)で偶然見つかった品種です。
地元の人が「なんだかすごく早く咲く桜があるぞ」ということで見つけたのが始まりだと言われていて、のちに、人工的に品種改良して出来た種類ではなく自然の中で生まれたということがわかっています。
河津桜は、オオシマザクラとカンヒザクラ(ヒカンザクラと呼ばれることもあります)の2つの桜が親であることが、遺伝子の調査から判明しています。
どちらも日本に古くからある桜の種類で、オオシマザクラは白っぽい花で、葉っぱは桜餅に使われます。
カンヒザクラは濃いピンク色で、早咲きの品種です。
河津桜は特にこのカンヒザクラの早咲きの特徴を受け継いで、例年1月や2月のうちから咲きます。
河津桜は咲き始める時期が早いだけでなく、長い期間楽しめるのも特徴です。
というのも、つぼみが開き始めてから一気に開くのではなく、日々の気温の変化の中で、ちょっと開いたりちょっと閉じたりを繰り返しながら、じっくり満開へ向かう性質があるからです。
さらに、木全体が一気に咲き進むのではなく、枝の下の方から順に咲くこともあって、見頃の時期が長く続きやすくなります。
みちのくに春を呼び込む可憐な桜、まだ残る冷たい空気に負けないよう、今年は遠くからその健気な姿を応援しています。