はてなブログのお題「#新生活が捗る逸品」ということで、気象予報士・防災士として災害に関する記事も書いてきた私としては、新生活を始める方に身の回りの品を揃えるついでにぜひ災害への備えもしてもらいたいところ。
なかでも今回は「食」に焦点を当てて解説していきます。
この記事のタイトルを見て「梅干しと海苔」ってどういうこと??と思った方も、"日本ならではの備蓄"の優秀さにきっとご納得いただけるはずです!
「非常食」とか「災害食」と聞いておそらく多くの人が思い浮かべるのは、缶詰やカップ麺、そしてレトルトパウチの食品たち。
もちろん、こういった食品もすごく大事で、まずはここからスタートすることになるのですが、実はこれらの食品だけでは「炭水化物に偏りすぎ」という落とし穴があります。
食育インストラクターの資格も持つ私(資格マニアですみません)の目線で考えても、確かに”典型的な非常食”は炭水化物中心で、どうしてもビタミンやミネラルが足りない。
発災直後であればとにかく生き延びるエネルギーが必要なので炭水化物の摂取が重要ですが、近年各地で発生している災害を例にとっても、台風や梅雨前線の影響で数日~1週間にわたって自宅避難が必要になるケースが珍しくありません。
そんな状況で炭水化物中心の生活を続けると…、
便秘や口内炎に悩まされたり、体力に自信のある人でも疲れやすくなって体調不良になってしまったり。
つまり、命を落とすほどの病気になるわけではないけど、避難生活が一層つらくなってしまう、そんな状況に陥るのです。
そこで、そんな食生活を簡単に補ってくれる代表選手が、梅干しと海苔。
梅干しにはカリウムやマグネシウムなどのミネラル、そして海苔にはミネラルはもちろんビタミンや食物繊維も含まれていて、足りない栄養素を補ってくれるのです。
(※もちろん梅干しと海苔だけですべて補えるわけではありませんし、梅干しを食べ過ぎると塩分取りすぎになります。何事も程度が肝心!)
日持ちが長く、非常時に火も水も使わずそのまま食べられるし、非常食のお米やおかずに混ぜて食べれば調味料代わりにもなります。
日本人が編み出した伝統的な保存食は、実は災害時にも優秀な食材なのです。
実は梅干しと海苔は私が勝手におすすめしているわけではなく、農林水産省が公開している「災害時に備えた食品ストックガイド」にも掲載されています。
ちなみに上の画像で「チョコレートやビスケットなどの菓子類も大事!」とありますが、避難中はどうしても気分が暗くなりがちなので、お気に入りのスナックを常に置いておくのは本当におすすめです。
また、気持ちを明るくすると同時にビタミン・ミネラルも補給できるものとして、果物もおすすめ。
さきほどの農水省のガイドでもフルーツ缶や野菜ジュースがおすすめされています。
(果物ジュースや野菜ジュースは、ものによってはかなり消費期限の短いことがあるので、確認してから備蓄してくださいね!また、医師から糖分を控えるよう言われている人は摂取量に気を付けましょう。)
こういった様々な食品をストックしようとすると、どうしても台所まわりがごちゃごちゃしてしまいますが、そんなときは「使用目的」と「使用頻度」を基準に分類してストックを。
さらに「見える化収納」と言って中身が見えやすい状態で収納すると、災害時だけでなく普段の生活も便利になります。
ここまで色々と書いてきましたが、急に全部やろうとすると途中で息切れしてしまうので、まずは自分にとって一番簡単なことから始めるのがコツ。
私のイチ押しの梅干しと海苔からでも、スナック菓子からでも、フルーツジュースから始めてもOK。
簡単なことから、1つずつやってみてください。
この春から新生活を始める方も、そしてお子さんが学校に上がったり卒業したりして色々買い揃えたり整理する必要がある方も、何か新しいことをしてみたい方も、ぜひこの機会に台所まわりを見直して、いざという時に役立つ食品ストックを目指してみましょう!