前回の記事で、これからの時期の天気を左右する、梅雨前線との"距離感"をご紹介しましたが、
その梅雨の大雨に備えるために、今日から避難に関する情報の「名前」が新しくなりました。
「情報が新しくなった」のではなく「名前が新しくなった」とはどういうことなのか、今日はいざというときのために覚えてほしい、"情報の使い方"をお伝えします。
各市町村が出す、避難に関する情報は、今まで次の3つがありました。
- 避難指示(緊急)
- 避難勧告
- 避難準備・高齢者等避難開始
「あれ?『避難指示』のあとに(緊急)なんて付いてたっけ?」とか、「避難準備ってこんな長い名前だったっけ…?」と思う人もいるかもしれません。
そうなんです、これらは色々な経緯があって、長かったりわかりづらかったりする名前になっていました。
たとえば「避難準備・高齢者等避難開始」はもともと「避難準備情報」という名前でしたが、「普通の人が避難の準備をするとともに高齢者や障害のある人や乳幼児のいる家庭など避難に時間がかかる人は避難を開始する」という意味が伝わりづらいということで、2016年に、"名が体を表す"名前に改められました。
同じ2016年、「避難勧告」と「避難指示」について、名前が似ていて区別がつきづらいということで、「避難指示」の方は末尾に「(緊急)」を付けるように改められました。
ただ、これでは根本的な解決にはなっていませんでした。
というのも、「避難勧告」と「避難指示」の区別がつきづらかった理由は、名前が似ているからだけでなく、意味も似ていたからなのです。
ごくごく簡単に言うと、「避難勧告」は「すみやかに避難してください」という意味で、「避難指示」は「本当は避難勧告を出したときに避難しておいてほしかったけど、まだ避難していない人がいたら今すぐ避難してください」という意味。
こう聞くと確かに多少違いがあるような気もしますが…、では、たとえば実際に雨が激しく降っていて、テレビやラジオで情報を聞いている状況を想像してみてください。
そのとき自分が聞いた情報が「避難勧告」だったとしても「避難指示」だったとしても、どのみち自分がすぐに避難しなきゃいけないことに変わりはない、ですよね…?
そう、つまり、多少の違いはあっても、その違いの存在意義はほとんどゼロだったのです。
そんなわけで、「避難勧告」と「避難指示」とをまとめて1つにしてしまおうという話は政府内で何年も前からあったのですが、「今までずっとあった情報がなくなるのは困る」という反対意見も各地の市町村から出ていて、なかなかまとまらずにいました。
それが今回、ようやく、一本化することが実現したというわけです。
また同時に、2016年に「避難準備・高齢者等避難開始」という長~い名前になった情報も、「高齢者等避難」に変更することになりました。
この情報が持つ、「普通の人が避難の準備をするとともに高齢者など避難に時間がかかる人は避難を開始する」という意味の中で一番大事な「高齢者等避難」の部分だけを残して名前を短くすることで、伝わりやすくする狙いです。
以上をまとめると、新しい情報の「名前」は、
避難指示(=すぐに避難してください) 高齢者等避難(=高齢者など避難に時間がかかる人は避難してください、そのほかの人も避難の準備をしてください)
となります。
「名前」は変わりましたが、「意味」は変わりません。
これまですでに避難情報の意味を理解して使ってきた人にとっては、今までと同じ行動をすればよいだけです。
そして、今まではあまり意味がわからなかったという人も、せっかく「名前」がわかりやすくなったので、これを機にぜひ覚えて活用してください。
なお、テレビや新聞の報道でこの避難情報の名前変更が報じられる際、よく「レベル」と一緒に説明がされていると思います。
この「レベル」というのは、2年前に始まった「5段階の警戒レベル」のことで、各レベルごとに今何をすればいいのかを、わかりやすいようにした仕組みです。
避難に関する情報の「避難指示」は「レベル4」、「高齢者等避難」は「レベル3」ですが、意味そのままなので、覚えなくても大丈夫だということがわかります。
ということで、とにかく
まずはこれだけしっかり覚えて、いざというときに備えましょう。
そして、もし家族で知らない人がいたら共有して、大雨のときどこに逃げたらよいのか、今のうちに一緒に話をしてみてください。