長い冬を終えて春を迎えたあとの東北には、初夏と梅雨と夏がどどどっと立て続けにやってきて、短い秋のあとにすぐまた冬が来ます。
怒涛のように季節が進んでいく中で次々と鮮やかに花開いていく植物の一つが、今回ご紹介するシャクヤクです。
宮城県の北西部、色麻町(しかまちょう)にある愛宕山公園では、毎年5月中旬~下旬に約1万株のシャクヤクが見ごろを迎えます。
約4000平方メートルの敷地いっぱいに、濃淡さまざまなピンク色の花が咲き乱れる様子は、文字通り圧巻です。
色麻町内には鉄道の駅がないため、仙台からのアクセスだと加美町行きの高速バスを使うことになります。
もちろん公園に行くためのバスではないので最寄りのバス停からも結構歩きますが、穏やかで美しい景色を見ながら歩くので、晴れていさえすればそこまで苦労は感じません。
無料の駐車場も100台分あるので、車が運転できる方は車がおすすめです。
「立てばシャクヤク、座ればボタン…」と、ボタンとともに美しい女性に喩えられるシャクヤクは、気品ある大輪の花と鮮やかな花弁の色が特徴。
同じボタン科のボタンと似ているために間違われることもありますが、同じ大輪の花でも、ボタンはまるで「座っている」ような姿であるのに対し、芍薬はすっくと「立っている」ようないでたちが印象的です。
この場所、宮城県民なら知らない人はいないくらいの知名度ですが、仙台や石巻などの都市部からやや離れていることもあって、私が訪れた2016年当時、平日は人が少なく、のんびり散策することができました。
2023年のシャクヤクまつりは5月23日~31日の予定ですが、すでに花が開きかけているというSNS投稿も見つけたので、開花状況によっては開始が早まるかもしれません。
ちなみに色麻町にはかっぱ伝説が残っていて、橋の欄干などにさりげなく河童がいたりします。
旅行先としてはマニアックすぎる場所ではありますが、天然温泉も存在し(温泉にも河童がいます)、宿泊施設も一応あるので(5人以上でないと泊まれないので、一応…)、興味を持ってくださる方がいればとても嬉しいです。