みちなるみちのく

東北180市町村を回った筆者が、あなたの知らない東北(みちのく)をご紹介します。

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「ちいさい秋」みつけた家のある場所 サトウハチロー記念館(岩手・北上)

今週のお題「秋の歌」と言われれば、皆さんの脳内で最初に再生されるのは「ちいさい秋みつけた」の童謡ではないでしょうか。

誰かさんが誰かさんが誰かさんがみつけた

で始まるこの歌は、小学校・中学校・高校の音楽の教科書にたびたび掲載され、またNHKの「みんなのうた」でも繰り返し放送され、日本人なら知らない人はいないというくらい有名な一曲です。

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この印象的な歌詞を書いたのは作詞家のサトウハチロー(本名:佐藤八郎)で、生まれも育ちも東京ですが、彼が「ちいさい秋」をみつけた自宅は今、岩手県にあります。

なぜ岩手なのかという話の前に「小さい秋」を"みつけた"経緯を説明しておくと、サトウハチローが住んでいた東京都文京区の自宅には、庭にハゼの木が植えられていました。

ハゼの木は日本のあちこちで見られる馴染みのある樹木ですが、秋になると葉が鮮やかな赤に染まります。

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庭木や街路樹によく使われるハゼの木は、紅葉の鮮やかさが印象的。

サトウハチローはこのハゼノキが紅葉している様にヒントを得て「ちいさい秋みつけた」を作詞したとされていて、実際に3番の歌詞には

はぜの葉 あかくて 入日色

と書いています。

話を岩手に戻しますが、サトウハチローの死後、残された資料はしばらく東京都文京区の記念館で保管されていたものの、膨大な資料を一括してしかもより長い期間の保全を可能にするため、彼の息子である佐藤四郎氏が記念館を建てられる場所を探していたところ、四郎氏の妻の出身地である岩手県北上市への移転が決まったそうです。

現在、北上市の北上展勝地(後述)内にあるサトウハチロー記念館には、移築された家とともに、かつて東京にあったすべての音源や資料が保存されています。

www.city.kitakami.iwate.jp

なお、「ちいさい秋」をみつけた自宅は北上市へ移築されましたが、庭にあった"あかくて入日色"のハゼの木都内の別の場所に移植されました。

東京メトロ丸の内線の後楽園駅の近く、文京区の礫川(れきせん)公園に今もひっそりと立っています。

(下記リンク先でその写真も見ることができます。)

4travel.jp

今や離れ離れになってしまった自宅とハゼの木ですが、偉大な作詞家の貴重な資料を一括して保存するには北上市のような広い土地が必要ですし、ハゼの木は都内に残しておいた方がかつてと同じ季節に紅葉を見ることができるので、それぞれ適地を選んだということなのかもしれません。

なお、サトウハチロー記念館のある北上展勝地(きたかみてんしょうち)は北上市を代表する景勝地の一つで、特に春の桜は息を呑む絶景

桜名所の多い東北の中でも5本の指に入るのではないかというくらい美しい景色です。

現在(2021年11月15日時点、公式HPによる情報)サトウハチロー記念館は休館中ですが、営業を再開したらぜひ満開の桜とともに楽しんでください。