みちなるみちのく

東北180市町村を回った筆者が、あなたの知らない東北(みちのく)をご紹介します。

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コイ、ババカレイ、そしてサケ…"めでタイ"魚は鯛だけじゃない!

あけましておめでとうございます。

12月中はなかなかブログを更新できずにいましたが、しれっと復活して今日は年取り魚の話題です。

年越しに際して食べる魚、あるいは年が明けてからお正月に食べる魚のことを一般に「年取り魚」と言いますが、どんな魚を食べるか地域によってかなり差があります

おおまかな分布としては、近畿から西の地域ではタイやブリ東海や関東・北陸ではブリやサケが多く、そして東北や北海道ではサケ、というように西から順にタイ→ブリ→サケとグラデーションのように変化するようです。

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「年取り魚」のイメージ

一方で、全体の傾向とは別に特徴的な魚を食べる習慣が残る地域もあります。

たとえば東北全体としてはお正月にサケを食べる地域が多いものの、山形県の内陸部、米沢市などの置賜地方ではコイの煮つけを用意する文化が今も受け継がれています。

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コイの煮つけ。思いっきり煮詰めるので見た目あまり美味しそうではないが、醤油と砂糖がしっかり染み込んでいて美味しい。

宮城県では仙台を中心にババカレイを食べる家が多く、季節の魚としても人気が高いので年末年始だけでなく冬の間スーパーによく並びます。

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ババガレイ(ナメタガレイ)の煮つけ。

ババカレイはカレイの仲間で、表面がすべすべしていて滑らかなことからナメタガレイとも呼ばれます。

淡白な味わい白身が柔らかく、煮つけにすると最高に美味しい

毎年寒くなってババガレイの水揚げが盛んになるとローカルニュースで報じられるほか、定食屋さんのメニューに登場することもあるくらい、地元民にとっては馴染み深い魚です。

また、お正月に食べる鮭はいわゆるサーモンの刺身のようなものではなく、新巻鮭(あらまきざけ・あらまきじゃけ)と言って、鮭を寒風にさらして干して熟成させたものをことが多く、高級品として贈答用にも使われます。

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新巻鮭は1000円くらいのものから5000円以上する高級品まであり、年末にスーパーやイベント会場に専用の売り場が登場する。

冬の冷たい季節風にさらされて旨みがぎゅっと凝縮された鮭は、厳しい冬がもたらす恵みの一つです。

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かつては民家の軒下に1メートルを超える鮭が干されていることもあったが、今はお店で買う家が多い。

皆さんの地域ではどんなお魚をお正月に食べるでしょうか。

おせち料理に入れられる数の子やエビのような海産物のそうですが、普段は食べることのない高級品やこの季節にしか手に入らないものをいただくことが、新しい1年の幸運を願う「ハレ」の日の象徴なのかもしれません。

今年1年、健康に過ごすことができますように。