みちなるみちのく

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台風が遠いのに雨が降る…「暖かく湿った空気」を送り込む意外な犯人

台風4号が明日7月5日、1九州北部に上陸する可能性が高くなってきました。

現在(7月4日22時時点)は九州の西の海上を北上していますが、そもそも今日は台風から離れた北陸や北日本でも激しい雨が降って、びっくりした方もいたかもしれません。

2022年7月4日22時時点の台風情報。最新の情報は下記リンクから確認のこと。

www.jma.go.jp

離れたところでも大きな影響が出るのは、台風が熱帯から持ち込む空気が、「暖かくて」「湿って」いるためです。

「暖かい」空気は軽いから上昇気流になるし、「湿った」空気は雨雲の材料になるので、それらを両方満たした「暖かく湿った空気」があると、どんどん雨雲が発達して雨を降らせることになります。

しかも、台風が日本付近で北上するタイミングではその東側に太平洋高気圧があることが多く、高気圧の反時計回りの風によって「暖かく湿った空気」は日本の広範囲に送り込まれることになってしまうのです。

高気圧周辺の反時計回りの風によって南から暖かく湿った空気が日本へ流れ込む仕組み。気象庁HP(2022年7月4日12時の天気図)を元に作成。

高気圧と聞くと普段は晴れをもたらす存在というイメージが強いと思いますが、台風とセットになると「暖かく湿った空気」を送り込むポンプのような役割を果たしてしまって大雨の要因になるという、意外な一面を持っています。

 

今回は台風上陸前からすでに雨が降っているところへ、明日(7月5日)以降は台風本体が九州~関東を縦断する見通し。

【再掲】2022年7月4日22時時点の台風情報。最新の情報は記事前半のリンクから確認のこと。

このように台風などが来る前に降る雨を「先行降雨」と言うことがありますが、「先行降雨」がある場合はすでに大地に水分が多く含まれた状態でさらに雨が降るため、いつも以上に注意が必要。

「普段ならこのくらいの雨、全然平気!」と思うような雨でも、意外と側溝から水があふれたり、斜面が崩れやすくなってしまうことも

「いつもより慎重に」考えて行動することが必要です。

 

なお、それぞれの地域でどのくらいの雨がすでに降ってこれからどのくらい降りそうかは、気象庁HPの「気象情報」の項目で都道府県別に見ることができます。

(下記リンクの地図で黄色になっている場所には情報が出ています。色がついていないところは重大な災害につながるような雨量が予想されていない場所です。)

www.jma.go.jp

そしていざ雨が激しくなって災害の危険度が増してくると危険度分布(キキクル)で危険度のレベルを確認することができます。

www.jma.go.jp

キキクル紫色になった場所はすぐに安全を確保する必要がありますし、黒色になった場所はもう災害が起きている可能性が高いということになります。

2017年から始まったキキクルは当初、あまりあてにならないと言われることもありましたが、運用開始から5年の間に気象庁が改良を重ね、今では驚くほど精度が上がってきました。

ぜひ自宅や職場の周りを確認してみてください。

 

ちなみに…、雨のため先週までの猛暑と比べると幾分しのぎやすい気温にはなっていますが、湿度が高いので不快指数は高いまま。

風遠しのよい服を選んで来たり、扇風機で部屋の空気をかき混ぜたりして、工夫して乗り切りましょう!