今年の夏は本当に何度「暑い」と言ったかわからないくらい、しつこい暑さが長引いていますが、東北にはかつて「暑さ日本一」だった場所があります。
山形県の県庁所在地、山形市。
2007年8月に熊谷(埼玉県)と多治見(岐阜県)に抜かれるまで、日本の歴代最高気温の記録を持つ観測地点でした。
ちなみにその記録というのは1933年7月25日に観測された40.8℃。
戦前に40℃を超えていることに驚く人も多いかもしれません。
そのくらい山形は「暑さのポテンシャルが高い」場所。
そしてもちろん、暑さ対策も伊達ではありません。
中でも特筆すべきは、「暑さに負けないグルメ」が多いこと。
以前の記事で郷土料理の「だし」をご紹介したことがありますが、
今週のお題「冷やし◯◯」に合わせて今日ご紹介するのはこちら。
ご当地グルメ「肉そば」です。
和蕎麦の上に、砂糖と醤油で甘辛く煮た鶏肉(鶏チャーシュー)が載ったもの。
温も冷もありますが、やっぱり夏は冷たい肉そばが人気。
山形県の中でも内陸地域を中心に昔から食べられていますが、最近はB1グランプリなどで知名度が上がって、食べられる場所が増えている気がします。
ここで写真を載せているのは、私がよくそばをお取り寄せしている「太郎兵衛そば」を作っている山形県寒河江市の老舗メーカーさんの肉そばセット。
太めのお蕎麦と、お店で出されるのと同じという甘辛い味付けがなんともたまらない。
冷たいお蕎麦に甘辛い味付けの冷たいスープ、そして鶏チャーシューが載った、シンプルだけど心もお腹もいっぱいになるソウルフードです。
山形県は麺類の消費量が全国有数で、特に無類のラーメン好きはよく知られています。
総務省が実施する「家計調査」で、山形市における1世帯あたりのラーメン外食費用は全国平均の2倍を超えていて、2003年~2020年には8年連続で全国1位でした。
そのほか、うどん・そばの購入量も例年5位以内に入っていて、麺類文化が発達していることが窺えます。
麺類を提供する店舗数ももちろん多く、肉そば一つ取っても、お店ごとに割と味が違います。
現地で食べるのがきっと一番美味しいとは思いますが、なかなか頻繁に行けないご時世なので、最近もう一つ、物産展で見つけた酒井製麺所という山形市内のメーカーの「肉そば」も買ってみました。
(こちらは鶏肉がついていないタイプなので鶏肉は自家製鶏チャーシューです。)
これは…スープが全然違う!
太郎兵衛そばの肉そばは甘み強めの甘辛い感じで懐かしい味わいだったのが、今回は塩味強めで比較的すっきりとした感じ。
どちらも美味しいので甲乙つけがたいですが、疲れてて癒やされたい時は前者、汗をいっぱいかいた日は後者がおすすめです。
山形にはこのほかにも「冷やしラーメン」(冷やし中華ではない!)や、「肉中華」(これも冷やし中華ではない!!)など、冷たいグルメが多いように思います。
1930年代から40℃超の暑さを経験し、「暑さとの戦い」の歴史が長い分、様々な知恵が蓄積されていると言えそうです。
これから来月9月にかけては全国的に曇りや雨の日が増えていき、ただ暑いだけでなくむしむしとした嫌な暑さが各地で予想されています。
先人の知恵を活用しながら、上手く心と体の栄養を補給して、乗り切っていきたいものです。