みちなるみちのく

東北180市町村を回った筆者が、あなたの知らない東北(みちのく)をご紹介します。

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やはり最強ツールは「重ねるハザードマップ」と「キキクル」 ―― 前代未聞の台風14号に備えを

久しぶりに時間ができたのでみちのく記事を書く予定だったのですが、台風14号が猛烈に発達していてそれどころではないので今回は気象予報士・防災士としての記事です!

気象庁は今朝の会見で、台風14号の接近に伴い特別警報を出す可能性があると言っていましたが、特別警報が出ても出なくても、何にどう警戒すべきか情報はすでにかなり出揃ってきました。

目次からクリックで各項目に飛べるので、興味のあるところだけでもぜひ読んでみてください!

台風の進路予報(2022年9月17日18時時点)。最新の情報は必ず気象庁HPで確認のこと。

1.【地域別】何に気を付けるべきか

気象庁が今朝(2022年9月17日11時)の会見で発表した資料より。最新の情報は必ず気象庁HPで確認のこと。
【九州・奄美】

まずは今回、一番危険度が高い九州・奄美は、「全部」に警戒です。

(すでに出ている警報について、九州北部はこちら、九州南部・奄美はこちらで確認できます。)

雨・風・波ともに全部、過去最大級に警戒する必要があります。

具体的な数値は気象庁HPを確認していただきたいですが、最悪の場合、

 2日間で1500ミリ(明日9/18~9/19)

 最大瞬間風速75メートル

 13メートル

まで達するおそれがあります。

(どこで何ミリ降る予想なのか等は下記リンクで地図をクリック)

気象庁|統合地図ページ

ここまで来ると命に関わる災害が起きるおそれが極めて高いだけでなく、災害は長引くことになります。

特に宮崎県内で降る雨は歴史的な量になりそうです。

取るべき行動はほぼ2択で、

自宅が安全(※)な場合→明日と明後日は外に出ない

自宅が危険(※)な場合→今すぐ避難

です。

(どこが安全でどこが危険かは、この記事後半の2.3.でそれぞれ確認してください。)

 

【四国】

波はすでに波浪警報が出ています。

当たり前ですが海を見に行ってはいけません。

明日18日~19日明日18日~20日まで警報レベルになる可能性が高いです。

特には2日間で最悪、高知は1000ミリ愛媛は600ミリを超えてくるおそれがあります。

特に愛媛は高知より普段の雨の量が少ないため、災害の危険度としては高知より愛媛の方が高いと思ってください。

現在出ている四国の警報と、このあと出る可能性が高い警報の一覧は、こちら。

気象庁|警報・注意報

また雨が何ミリ降りそうか等は下記リンクの地図から選んでください。

気象庁|統合地図ページ

 

【中国】

今回、予想雨量が九州の1/5くらいしかない中国地方ですが、そもそも普段の雨量も1/5くらい場所が結構あるので、普通に大雨警報や土砂災害警戒情報が出るくらいにはやばいと考えてください。

(土砂災害警戒情報が出るということは、裏山が崩れて土砂が流れ込む家が高い確率で存在する、ということです。)

明日18日、風は18日~19日の2日間警報レベルになりそうです。

すでに山陽新幹線は19日に終日運休の区間があることが発表されていますが、影響は20日にかけてさらに広がるおそれがあります。

県ごとの詳しい予想はこちら。

気象庁|警報・注意報

 

【近畿】

すでに波浪警報が出ているほか、明後日19日19日~20日警報レベルとなりそうです。

気象庁|警報・注意報

先述のように山陽新幹線は19日に終日運休の区間があることがすでに発表されていますが、影響は20日にかけてさらに広がるおそれがあります。

雨量は紀伊半島で2日間で最大500ミリに達する可能性があります。

(県ごとの具体的な数字は下記リンクの地図をクリック)

気象庁|統合地図ページ

 

【東海】

東海は要素ごとにいつ警戒が必要かが結構バラけているのが特徴です。

沿岸部では波が明日18日~20日かけて長い期間、警報レベルになりそうです。

一方で静岡県を中心に明後日19日~20日19日に強くなる地域と20日に強くなる地域があります。

静岡県各県の沿岸部を中心に交通機関への影響が広がりそうです。)

※9月18日追記:すでに静岡県内は東海道線に運転見合わせが出ています。

県ごとに警報の出るタイミングが変わるため、下記リンクで具体的に確認してください。

気象庁|警報・注意報

 

【関東】

関東は特に週明け20日(火)の暴風がもっとも危険となりそうです。

20日は連休明けで朝一番に通勤する人もいると思いますが、最悪、東京・千葉・神奈川の各地始発から運休ということもあり得ると思います。

関東では以前にも台風の影響で休み明けに大規模運休が発生し、鉄道各社の駅が大混乱に陥ったことがありました。

自分が混乱の一因にならないよう、最新の情報を手に入れ続けるとともに、「念のための行動」を今から考えておいてください。

は明日18日から断続的に降り、18日~19日の2日間で神奈川県の箱根周辺では最大で400ミリを超えるおそれがあります。

気象庁|警報・注意報

 

【北陸】

北陸に関してはまだ少し台風の影響の内容が不明確です。

というのも、北陸接近時の台風の予報円がまだやや大きい(=どこに中心が進むかわからない)ためです。

ただ、風と波については明後日19日から警報が出る可能性が高くなっています。

気象庁|警報・注意報

 

2.【雨に備える】最強お役立ちツール

まだ雨が激しく降る前の段階では、「重ねるハザードマップ」が最強です。

disaportal.gsi.go.jp

画面左上の「災害種別で選択」の中から、「洪水」や「土砂災害」などを選ぶと、それぞれどのくらい危険な災害が起きる可能性があるのかを図示してくれます。

「重ねる」という名前の通り、複数の災害のリスクを「重ねて」表示できるので、これを使えば「洪水から逃げようとして通った道で土砂災害に遭ってしまった」ということはなくなります

 

また、すでに雨が激しくなってしまった後には、「キキクル」が最強です。

www.jma.go.jp

これは右上の丸いボタンで「土砂災害」や「洪水」を選ぶと表示できます。

今は九州の一部が赤くなっているだけですが、明日にはもう九州全体が紫色や黒になり、明後日以降は全国のかなり広い範囲で危険度の高い表示が広がる見通しです。

この「キキクル」は、「黒」になってしまうと「手遅れ」を意味するので、「紫」の段階で避難を完了するか、家から出ない決意をしてください。

また、今日午前中の会見で気象庁は、今回の台風14号に関してはこれまでの台風よりも災害のおそれが高いため、九州に関してはもう「赤」のうちに安全確保するよう呼び掛けていました。

3.【風に備える】吹く時間と強さはすでにわかっている

これまでご紹介してきたように、各地方で暴風警報が出るタイミングがいつになるのかは、すでに気象庁から発表されています。

(まだ確認していない人は、気象庁|統合地図ページで自分の都道府県を見てください。)

暴風警報は、逃げる時間を確保するために、実際に暴風が吹く数時間前~6時間前に発表されることが多いです。

つまり、発表の数時間後~6時間後に暴風が吹くことがわかります。

そして、具体的に何メートル吹くかも先述の通りこちらでわかります。

風が何メートル吹けば何が起きるかも、科学的にわかっています。

気象庁HPより「風の強さと吹き方」

これによると、九州で予想されているような風の強さだと、鉄骨でできた建物が変形するおそれがある、ということになります。

このように、すでにいつ・何が起きそうなのかわかっている状況です。

あらかじめ準備をして、出来る限り安全に過ごしてください。