まだまだしんどい暑さが続くものの、なんとなく空を眺めていると、見慣れたもくもくした雲だけでなく、うろこのような雲や、ハケでサッと描いたようなすじ状の雲も見え始めています。
ちょうど、積雲や積乱雲のように夏らしい雲と、うろこ雲やすじ雲のような秋らしい雲が、同時に空に見えるような状態を、古くからの日本語で「行き合いの空(ゆきあいのそら)」と呼びます。
私の大好きな日本語の1つ。
夏が去る前に名残惜しそうにもたもたしているところへ秋が追い付いてきたような、そんな微笑ましい場面にも思えます。
9月は各地で行き合いの空が目撃される季節。
そして、東北では地上でも「行き合っている」ものがあります。
関東に住んでいる人の多くは、サルスベリは「夏の花」という印象があると思います。
私の地元・名古屋でもそうですし、実際に関東~九州のほとんどの地域では、サルスベリは夏に咲きます。
一方、東北では初秋の花。
8月の終わりごろから咲き始めて、10月頃まで楽しめるところもあります。
そして、この時期になると、早くも北からススキ前線が南下してきます。
北海道で8月のはじめごろから現れるススキは、8月の終わりから9月にかけて、東北でサルスベリが咲くころにタイミングを図ったかのように現れます。
北上していくサルスベリと南下してくるススキがちょうど東北ですれ違う。
サルスベリとススキが同時に見られるのは、みちのくならではの光景です。
季節が行き交うタイミングは、雨が多くなり、気温の変動が始まるタイミングでもあります。
週間予報に雨マークが並ぶのはちょっとお洗濯に困りますが、あと少しでようやく熱帯夜から解放されそうです。