みちなるみちのく

東北180市町村を回った筆者が、あなたの知らない東北(みちのく)をご紹介します。

「無関心」が生む「地震雲」という幻影――怖がる前に、備えを

13日の夜遅くに宮城・福島震度6強を観測する地震が発生してから、丸4日。

まだ断水が続いている地域や、新幹線が運休している地域、工場の操業や海での漁ができない地域もあって、影響の大きさを改めて感じさせられます。

こういった大きな地震があると、必ずと言っていいほど、「地震雲」と称される写真がネット上に数多く投稿されます。

先に言っておきますが、「地震雲」という雲はありません

そういう雲があると思い込んでいる人が一定数存在する、というのが事実です。

ネットでよく「地震雲」と呼ばれているのは、こういった形の雲です。

(実際に投稿されている写真に近い形の雲をフリー素材で集めて掲載しています。)

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まだまだほかにもありますが、そもそもこれだけでも全然違うタイプの雲たちなので、冷静に考えれば、発生の成り立ちが異なることが容易に想像できますが、ネット上ではこれらが「地震の予兆」として挙げられています

こういった雲は、地震が起きる前でも後でも、地震とはまったく関係ないときでも、少し気を付けて空を見てみると、普通に出会える雲ばかりです。

つまり、普段から空に関心を持っていれば、特別に感じることすらないはずなのです。

空への「無関心」が生む幻影

それが、「地震雲」の正体です。

ちなみに上の6枚の写真をざっくり解説すると、1枚目(左上)はロール雲といって、空気が湿っていて風が強いときなどに発生する雲(分類としては高積雲または層積雲)、

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ロール雲は、何本も並んで発生することも多い。

2枚目は飛行機雲が成長したもの、

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空気が湿っていると飛行機雲は空に長時間残り、発達することがある。こういう場合、翌日あたりに雨が降ることが多い。

3枚目は波状雲(はじょううん)と言って、空気が湿っているときに山脈の風下側で見られる雲、

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波状雲は、一部風上側にできる場合もある。

4枚目は鉤状雲(かぎじょうぐも)と言って巻雲の一種で、

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空高いところにできる巻雲が、風に流されてフックやかぎ爪のような形になったもの。

5枚目は富士山などの高い山(特に独立峰)に一定の方角から湿った強い風が吹き続けるとできる笠雲(かさぐも)と呼ばれる雲、

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よく南から湿った空気が流れ込むときに発生することが多いため、天気が崩れる前触れとも言われる(地元の人によると7割くらい当たるらしい)。

最後はただのうろこ雲(巻積雲)です。

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うろこ雲(いわし雲とも)は分類上は巻積雲。画面中ほどの塊が大きな雲はひつじ雲(高積雲)。

ということで、当然ながら地震とは関係ありません

「地震雲」の存在を主張する人の中には、地震の前には断層が動いて、断層の割れ目から通常より多量の電磁波が放出されて…という理屈を立てる人もいますが、たとえ電磁波が大量に出ていようが出ていまいが、大気中の水蒸気量とか気流の強さとかの影響の方が桁で大きいので、雲の生成にとっては誤差です。

でもやっぱり怖い…という場合は、怖いのは「雲」ではなく「地震」であることに間違いはないので、「地震」に備えましょう

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水や軍手、マスクといった基本的なグッズのほかに、家庭ごとに常備薬や粉ミルクなど必要なものがある。

いまどき非常用品はネットでもコンビニでも買えますし、そんなに高価でもない時代になりました。

備えることがこんなに簡単になった世の中で、備えていないことの言い訳なんてもはや成り立たないのです。

厳しい言い方をしているかもしれませんが、やっぱり、「自ら命を守る意思を持つ」人が一人ずつ増えていかない限り、大きな自然災害が発生したとき、悲しい思いをする人を減らすことはできないと、私は思っています。

あなたと、あなたを大切に思ってくれている人のために。

どんなに簡単なことでもいいので、できることを、できる範囲で、できるうちに、やっておきましょう。