今週のお題が「自由研究」ということで、どうしていいかわからず困っているかもしれない小学生や中学生の皆さんへのヒントになればと思い、今日の記事を書きます。
タイトルの通り、夏の空は"雲"の宝庫。
1日を通して多種多様な雲を目撃することができて、雲観察には絶好の季節です。
夏に雲を観察するには、晴れた日の午後が狙い目。
つまり寝坊しても大丈夫です。
午後になると、あちこちにもくもくとした雲が立ち上がり始めます。
夏は空気だけでなく地面がめちゃめちゃ熱くなっているのに気づく人が多いと思いますが、その熱くなった地面によって地面付近の空気が温められて、温まった空気は軽いため上昇し、上空で冷えて雲となります。
もくもくした雲を複数見つけたら、それらの雲がどう変化していくのか経過観察しましょう。
積雲から積乱雲にまで成長できずに、次第に風に流されてなくなってしまう雲もありますし、中にはどんどん成長し続けて積乱雲になるものもあります。
成長しすぎて「これ以上もう上昇できない」という高さ、専門的には「対流圏界面」と呼ばれる高さに達した雲は、"頭打ち"になります。
「かなとこ雲」と呼ばれる状態で、これ以上もう上へは上がることができないので、対流圏界面にそって水平方向に広がっていくのです。
対流圏界面は高度約10~15キロの位置にあります。
飛行機が飛ぶのと同じくらいの高さなので、もし飛行機が雲の近くを通ったら、高さを比較してみましょう。
また、見る角度によって様々な表情を見せるため、SNSで検索すると同じ雲を見ているのに全く印象の違う写真を撮っている人もいることがわかると思います。
ここまで成長してしまったらその真下では強い雨が降っていることが多いですから、雲が見れる方向を調べて、気象庁HPでレーダーなどと見比べて一致するか調べてみましょう。
もし自分のいる場所でも雨が降ったら、雲の成長過程と雨の降り方も対比して整理するのも面白いと思います。
そして、積乱雲や積雲が多い夏は、こんな現象も目撃できるチャンスが多くなります。
「天割れ」とも呼ばれる現象。
上の写真の場合だと、写真上方の右側は積雲の頂上から出た光線(専門的には薄明光線)によって光に照らされているのに対し、左側は暗くなっていて、まるで空が左右にパカッと割れているみたいです。
この光線の正体は、空気中のごく小さな水滴やチリなどによって、光が散乱されたもの。
そんな細かい水滴やチリでこんなに光るの!?と驚くほど、明るく照らされていますよね。
高校化学で習う「チンダル現象」という現象が起きているのですが、学校によっては中学でもさわりだけ習うことがあるようです。
ちなみに「天割れ」は、積乱雲や積雲の頭から光が出てくる必要があるため、積乱雲も積雲も発生しやすい夏は観察のチャンス。
特に夕方によく出現します。
遠くに出かけなくてもできる、雲観察の自由研究。
学校に自由研究課題を提出しなければならない人も、そうでない人も、ぜひ夏のにぎやかな空を見上げてみてください。