昨日、今週のお題「自由研究」に合わせて"雲観察のススメ"を書きましたが、そこで「薄明光線」がちらっと登場しましたが、せっかくなので、"意外と奥が深い"薄明光線の世界についてもう少し書きたいと思います。
昨日の記事では、いわゆる「天割れ」の状態を作り出した薄明光線の写真を紹介しましたが、
より頻繁に目撃される薄明光線として、こんなタイプがあります。
実際に見たことがある人も、そして写真で見たことがという人も、かなり多いはず。
太陽の光が当たるところに適度に隙間のある雲さえあれば、高確率で見ることができます。
上の写真のようにはっきりしている場合もあれば、もっと薄くてほんのりとしか見えない場合もあるので、普段から空をよく見るようにしていると、慣れてきて発見しやすくなります。
まるで天から光のハシゴが降ろされているように見えるため、「天使のハシゴ」とも呼ばれる現象です。
また、上記のように上から下へ延びる薄明光線もあれば、下から上へ延びる場合もあります。
特に朝日や夕日の時間帯だと、太陽高度が低いため、基本的にはこのように光りは下から上へと延びることになります。
昨日説明した通り、夏は朝より夕方の方が雲が多くにぎやかな空になるので、このタイプの薄明光線を見るためには夕方が狙い目です。
薄明光線については、作家・宮沢賢治が「光のパイプオルガン」とも表現していて、さきほどの「ハシゴ」タイプよりも、下から上へ延びるタイプの方が、よりパイプオルガンぽく見えるかもしれません。
ちなみに宮沢賢治が「光のパイプオルガン」という言葉を使っているのは『告別』という詩の中なので、理科と国語の両方に興味がある学生さんの場合は、図書館で詩集を借りてきて、自分の印象と比較してみてもよさそうです。
(『告別』の詩自体もすごく深くて、人によって異なる感動を覚える詩だと思うので、子どもも大人も読書におすすめです。)
空や雲をよく見るようになると、急な天気の変化に気づくこともできるようになりますし、よくネットで「奇跡の雲」とか「地震の前触れ」と言われる空や雲の写真が、実はありふれた自然現象であることもよくわかると思います。
以前、地震雲に関する記事も書きましたが、
空に関心を持つ人がもっと増えたら、こんな記事も必要なくなるのでは、と思えてなりません。
自由研究をやらないといけない皆さんも、そうでない皆さんも、ぜひこの機会に空を見上げてみては?