みちなるみちのく

東北180市町村を回った筆者が、あなたの知らない東北(みちのく)をご紹介します。

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地を淡く白く染める可憐な花 ソバ畑は"秋の見頃"

今月中頃くらいから、東北各地でソバ畑が見頃だという話をよく聞くようになりました。

ソバは春と秋の2回、収穫期を迎えますが、今は初夏に種まきをしたソバがを咲かせ、をつける時期です。

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地面が淡く白に染まり、清らかな印象を与えるソバ畑(山形県内で2017年9月中旬撮影)

ソバの花は5ミリくらいの小さな小さな花で、まれに赤い花が咲く品種もありますが、東北ではほとんどのところで白い花が咲きます。

 

ソバが美味しい地域、と言えば長野山形を思い浮かべる人が多いと思いますが、暑すぎると実が出来ない植物なので、基本的には寒冷地が栽培に適しています。

東北6県ではソバの栽培が盛んな県が多く、山形を筆頭に4県ソバの収穫量トップ10に入っています(農林水産省・平成29年統計より)。

 

気候さえ合えば痩せた土地でも育つことから、かつては米が育たない場所で仕方なく代わりにソバを作っていたところもあり、「ソバが特産品だなんて、自分の土地が貧弱だと公表しているみたいで恥ずかしい」という人もいました。

しかし今では、収穫したばかりの新ソバが食べられる、というのは贅沢なこと。

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秋の新ソバは一般に春よりも香りが強いとされ、「秋新(あきしん)」とも呼ばれる。

私の知る山形のお蕎麦屋さんにも毎年、新ソバの時期には東京大阪から多くのお客さんがやってきます。

かつて痩せた土地の象徴とされたソバは今や、何百キロもの距離を移動してまでして味わいたい食べ物になりました。

 

小さく可憐な見た目からは想像しづらいかもしれませんが、ソバの花にはたっぷりの蜜があります。

この蜜を目当てに、ソバ畑にはミツバチが集まります。

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ソバの花にとまるミツバチ。小さな生き物たちの可愛らしい世界が垣間見える。

ミツバチたちにソバ畑で蜜を集めてもらって蜂蜜を作る養蜂家さんもいて、量は多くないものの一般にも売られているので、少し黒っぽい色をして独特の風味を持つソバ蜂蜜を、食べことがある人もいるかもしせません。

 

も可愛く、も味わえて、最後にできるは香り高いお蕎麦に。

私たちの生活を多面的に豊かにしてくれるソバが咲かせる花の見頃は、あと残りわずかです!