みちなるみちのく

東北180市町村を回った筆者が、あなたの知らない東北(みちのく)をご紹介します。

美味しいイチゴに欠かせない!花粉運ぶミツバチは影の立役者 

今週のお題「花粉」ということで、ちょうど今が花粉症の季節であるために「花粉」という言葉に楽しいイメージを持たない人が多いとは思いますが、植物の側からすれば、子孫を残すために花粉は不可欠なもの。

スギやマツなどの花粉は風に運んでもらいますが、多くの植物は花粉の運搬に虫の力を借ります。

この頃スーパーの店頭にもたくさん並ぶようになってきたいちごも、その1つ。

今日の話題は、いちごとミツバチの甘くない!?関係です。

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見ているだけで気持ちがウキウキするいちご。彼らは、虫の力がないと子孫を残せない。(宮城県蔵王町で2017年に撮影)

いちごの本来の旬は初夏(5~6月頃)ですが、12月のクリスマスや3月のひなまつりシーズンに需要が高まるのに合わせて、今では冬~春先の出荷が多くなっています。

その期間中、いちごは1か月~数か月くらいのサイクルで開花~受粉~結実~収穫を繰り返すことになります。

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いちごのハウス内部。暖房で温度を調節したり、電灯で日照時間を調節したりする。(宮城県蔵王町で2017年に撮影)

いちごが受粉するには、花粉を虫に運んでもらう必要がありますが、ハウスの中では温度を調整するために扉を閉じている時間が長く、外から虫が飛んできづらい環境です。

そこで、ハウスの中に養蜂家から借りたミツバチの巣箱を置いて、いちごの花粉を集めるついでに受粉のお手伝いをしてもらいます。

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土にいちごを植えるタイプのハウスでは、2センチほどの小さなミツバチが活躍。(水耕栽培の大きなハウスの場合は大きな蜂を入れる。)(宮城県蔵王町で2017年に撮影)

ミツバチのごはん花の蜜だけだと思っている人もいるかもしれませんが、ミツバチは花粉も食べます

そのため、食料を集めようと花々を回って脚に花粉を付けながら飛ぶのですが、ある花で脚に付着させた花粉が、飛び回る間に別の花のめしべにくっついたりするので、結果的に受粉を助けることになるのです。

いちご農家など通常の農家の人がミツバチを育てるのは大変なので、基本的には養蜂家など専門の人が育てたミツバチをレンタルします。

つまり養蜂家は、ミツバチを育てて蜂蜜を作るだけでなく、農家に貸し出すお仕事もしていることになります。

養蜂業を営むには近隣に豊かな森が必要ですが、私が以前住んでいた東北では皆さんのご想像の通り豊かな森が多かったので養蜂家さんも多く、農家へのミツバチリースを仕事にしている人も結構いました。

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レンタルに出されていない間、ミツバチたちはこのような「蜂場」と呼ばれる場所に置かれた巣箱を住処にする。1つの巣箱には100を超えるミツバチが集まる。(宮城県白石市で2017年に撮影)

ちなみにミツバチはあまり目が良くないので、暗くなると活動できなくなります。

ミツバチがいちごの受粉を助ける秋~春先の期間はもともと日が短いため、花粉集めに動ける時間も短くなります。

さらに、実はいちごの花には花粉はあっても蜜がないため、いちごのハウスだけを食料採集場所にしていると、食料不足になってしまいます。

そこで、いちごのハウスに設置する巣箱には、タンパク質の栄養剤や、蜜の代わりの砂糖水などを入れておき、ミツバチたちが厳しい冬を乗り切れるようにしています。

いちごの受粉を助けるお仕事は、思いのほか大変なのです。

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宝石のように美しいいちごたち。おいしいいちごをいただく時は、厳しい環境の中で働いてくれるミツバチたちにも感謝したい。(宮城県蔵王町で2017年に撮影)

スーパーの広告にいちごの特売が載るようになったり、ケーキ屋さんでもいちごフェアが開かれるなど、いちごを食べる機会が増える3月。

美味しいいちごに欠かせない影の立役者・ミツバチたちの姿にも、ぜひ思いを馳せてみてください。