みちなるみちのく

東北180市町村を回った筆者が、あなたの知らない東北(みちのく)をご紹介します。

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ふわもち新食感!マタギのおやつ ケンミンSHOW 極上グルメ2位に輝いた「バター餅」(秋田)

今週は、今週のお題「好きなおやつ」に合わせて東北のおやつをご紹介していますが、

megumin1120.hatenablog.com

今日は昨日の記事とは打って変わって…マタギのおやつ、「バター餅」です!!

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主に秋田県内で売っている「バター餅」。今はネット通販や全国各地の物産展でも手に入るようになった。

バター餅とは、文字通りバターを練り込んだお餅

北秋田市など秋田県内陸地域を中心に、半世紀ほど前から家庭で作られてきたお菓子です。

具体的には、炊いたもち米バター、塩、砂糖、小麦粉、卵などを混ぜ込んで、分厚い板状に成型した生地を四角や三角に切り分けます。 

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私が食べたことのある泉栄堂のバター餅は、他の店のものより角ばった形。ほんのり香るバターと、優しいもちもち食感がクセになる。

もち米に加える材料やその分量は家庭ごとに異なり味や柔らかさもそれぞれ違いますが、全体的にほんのり甘くてほんのりバターの香りがして、普通のお餅よりかなり柔らかいのが特徴です。

個性的な味わいなのでやや好みが分かれるところだと思いますが、少なくとも私は大好きです!

 

もともとはマタギ山に入るときに持って行った携帯食だったというバター餅。

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マタギと聞くと毛皮をかぶっている姿を想像するかもしれないが、意外と普通の格好のマタギも多い。(秋田内陸縦貫鉄道・阿仁合駅併設の内陸線資料館にて撮影)

マタギとは主に猟銃クマなどを狩ることを仕事とする猟師のことで、北陸から北海道にかけての各地にいるものの、特に秋田県では数が多いとされています。 

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伝統的なマタギの住む家を再現したセット(秋田内陸縦貫鉄道・阿仁合駅併設の内陸線資料館にて撮影)。ちなみに今も昔も、一年中狩猟をするというより、夏は農業をして、田畑が覆われる晩秋~早春に山に入るマタギが多い。

餅とバターを混ぜることになった所以は諸説ありますが、秋田から仕事で北海道へ行ったマタギがそこで入手したバターを餅に混ぜてみたところ、寒さの中でも餅が固くならず、また(当然ながら超高カロリーなので)腹持ちが良かったことから、よく食べるようになったという説が有力です。

 

私は知らなかったのですが、テレビ番組「秘密のケンミンSHOW」「極上グルメ2位」になったことがあるらしく、これをきっかけに全国的に知名度が上がったとのこと。

古くからバター餅のお店が特に多い北秋田市では、その人気を一過性のブームで終わらせないようにと、日本バター餅協会なるものが設立され、「北あきたバター餅」という登録商標を得て、「バタもっち」なるゆるキャラまで登場するという気合いの入りようです。

(バタもっちが活躍するニュースの例…サムネイルに映る黄色い子がバタもっち:北秋田市役所HPより)

www.city.kitaakita.akita.jp

ちなみに、秋田のバター餅を紹介するサイトでよくハワイアンバター餅(表記は文献により少々異なる)も一緒に登場しますが、こちらは餅は餅でも「もち米」ではなく「餅粉」(もち米を乾燥・粉砕した粉末)を小麦粉の代わりに使ってオーブンで焼くケーキで、名前以外はあまり似ていませんし、そもそもルーツが違うようです。

 

さきほどの「ケンミンSHOW」に登場したバター餅は秋林商店の「柴田さんちのバター餅」ですが、秋田県では北秋田市だけでも10を超えるお店でバター餅を作っていて、普通のスーパーでも複数種類のバター餅を置いているところもあるほど。 

そして私が東北にいた頃はほとんど秋田県内でしか手に入らなかったのですが、今や楽天で買えるという時代になり、

しかも、なんとクラシルにレシピが載っている!のも発見しました。

www.kurashiru.com

便利すぎる…!

 

マタギの里が生んだ個性派おやつ・バター餅。

ふわふわもちもちの生地とバターの風味に誘われて一つ口に含むと、秋田出身でなくとも何故かほんのり懐かしい気持ちになると思います。

ぜひご賞味ください!