今週のお題「急に寒いやん」ですが、急に寒くなって食べたくなるのが、鍋。
中でも私の心をつかんで離さないのが、熊鍋です。
熊鍋、つまり熊肉(ツキノワグマ)の鍋ですが、私が今まで食べた中で一番美味しかったのが、福島県桧枝岐村(ひのえまたむら)で食べた熊鍋です。
(どんだけ熊を食っているのか、とツッコミが入りそうですが、あなたも一度食べたらきっとハマるはず…!)
まずもって熊肉自体を食べたことのない人がほとんどだとは思いますが、個人的な印象としては、牛肉にかなり近い肉です。
この表現にはやや賛否両論あるかとは思いますが、見た目的にも赤身で似ているし、食べ応えも似ているし、加熱したときに旨みがしっかり出るところもやはり似ています。
熊肉の旨みは、加熱したときに出てくる油に大部分が含まれているのですが、この油がとにかく美味しい!
まったくしつこさがないし、食欲をそそるような良い匂いまでする。
牛肉の場合もその出汁を利用したスープなどの料理がありますが、熊はそれをはるかに上回る存在感です。
ここまで散々、熊肉の美味しさを語ってきましたが、実はこれらの話にはすべて、ある条件が付きます。
それは、「熊を上手に解体した場合に限る」ということ。
熊を含めジビエは全般的に、臭みが強い、獣臭くて食べづらい、とよく言われますが、そういった臭い肉は、さばき方が下手だったり、そもそも狩られた場所が遠くてさばいてから時間が経っているのが原因であることがほとんどです。
ちゃんと上手にさばかれた熊肉は、臭みを感じることなく、その旨みだけを存分に味わうことができます。
私が東北のあちこちで美味しい熊肉を食べることができたのは、東北であればあちこちに熊肉をさばける人がいるためです。
そのため秋田、宮城、福島のあちこちで熊肉をおなかいっぱいいただいてきた私ですが、熊鍋と言えば一番美味しかったのが、冒頭の桧枝岐村。
桧枝岐村は福島県と群馬県の県境、尾瀬の入り口の1つがあり、実に100年以上の歴史を持つ村です。
この村では「山人(やもーど)料理」と言って、山菜やきのこ、川魚といった山の幸を使った郷土料理が残っていますが、温泉街の旅館でもそれらを味わうことができ、熊肉料理もその一つです。
人々が山とともに暮らし続けている東北だからこその味わい。
熊肉は、体を温めたり、滋養強壮に役立ったりと、様々な効能も指摘されています。
日に日に冷え込むこの季節、身も心も温めてくれる熊鍋、いかがですか?