最近ばたばたしていてあまり記事を書けていない間に、いつの間にか今週のお題が「急に寒いやん」になっていました。
急に寒くなってきたこと、つまり季節が進んでいることを、私たちは自分自身の肌でも感じるし、同時にテレビや新聞で報じられる「季節の便り」でも実感します。
このブログではこれまで、季節の移り変わりを知らせる気象観測について何度か書いてきましたが、
秋から冬へと季節が進むとき、各地の気象台から出される様々な「お知らせ」を、気象予報士の間で「初もの」と呼んでいます。
それぞれ初冠雪、初霜、初氷、初雪と、いずれも「初」が付くためです。
初冠雪は上記の記事で紹介したように、気象台から山の方を見て、雪で白くなっているのが確認されれば発表となります。
一方で、初霜と初氷については、気象台の敷地内にある、露場(ろじょう)と呼ばれる観測用の庭のような場所で判断します。
露場は地面に芝が植えられていて、そこに雨量計や温度計など様々な機器が設置され、24時間自動で気象観測を行っている場所です。
その露場の芝生に霜が降りたのが観測されれば「初霜」、露場に置いた金属のお皿のような器に入れた水が凍っていれば「初氷」が発表されます。
いずれも、人が目で見て観測する、「目視観測」。
歴史の長い気象台ではもう100年以上も同じ方法で、このような「マメな」観測を行い続けています。
今シーズンはすでに北海道の各地で初霜・初氷が観測されているほか、東北でも盛岡では初霜が10月28日、初氷が先週末の10月31日に発表されています。
東北の中では盛岡より青森の方が北にあるのに例年盛岡で先に「初もの」が観測されるのは、盛岡が内陸にあり青森が沿岸にあるためです。
内陸、つまり海から離れた地域は、朝晩の気温が下がりやすく、日中の気温が上がりやすい傾向があります。
というのも、水は熱容量が大きい、つまり暖まりにくく冷めにくい性質があるため、大量の水がすぐ近くにある沿岸の地域では、朝晩と日中の気温変動が抑えられます。
いわば海の水は、沿岸地域の気温変動のバッファーの役割を果たしているのです。
東北では秋田が盛岡とほぼ同じくらいの緯度にありますが、秋田も沿岸に位置しているため、やはり盛岡と比べると初霜も初氷も例年、一足遅れて観測されます。
関東や関西で暮らしていると、霜が降りるなんてまだまだ先のことのように感じますが、東北ではすでに、いつ霜が降りてもおかしくない時期に入っていて、場所によっては初雪の時期も迫っています。
初雪については最近、目視観測だったものが自動化が進んでちょっと説明が複雑なので、また別の機会に。
いずれにしても、気象台の周辺で雪またはみぞれが降れば「初雪」で、今シーズンはすでに北海道内の各地で発表されています。
東北の早いところでは、平年値が青森で11月5日、盛岡で11月6日です。