みちなるみちのく

東北180市町村を回った筆者が、あなたの知らない東北(みちのく)をご紹介します。

MENU
ーおすすめ記事ー

丑の日が終わっても土用は続く —— 要注意な酷暑と「土用波」

今年は7月28日が夏の土用期間中の「丑」の日に当たり、近所のうなぎ屋さんでも行列ができていましたが、土用の丑が終わっても土用が終わるわけではありません

f:id:megumin1120:20210730111610j:plain

先日ウナギを食べた人も食べなかった人も、知っておきたい「土用」の話。

土用というのはもともと季節が切り替わる前の約18日間のことを指し、たとえば夏の土用は、暦の上で夏から秋になる「立秋」の前日までの約18日間

つまり今年2021年の場合は立秋が8月7日ですから、7月19日から8月6日までの18日間です。

ちなみに日本には季節が4つありますので、春の土用(立夏前の約18日間)、夏の土用、秋の土用(立冬前)、冬の土用(立春前)があります。

f:id:megumin1120:20210730112546j:plain

「夏の土用」は、暦の上で夏が終わる直前の期間。

残り1週間ほどある「夏の土用」の間に注意が必要なのが、まずは暑さ

夏の土用期間は古くから暑さが極まる頃とされていますが、昔の人の経験則は流石と言えるほどで、実際に最高気温の平年値はこの時期に年間最高値となる地域が多くなっています。

日本で暑さによる死者、つまり熱中症による死者は多い年には1000人を超えますから、土砂災害や洪水などよりも圧倒的に多くの命を奪います

f:id:megumin1120:20210730111524p:plain

熱中症による死者数。厚生労働省データを元に作成。

そしてもう一つ、「土用波」にも注意が必要です。

「土用波」が何なのかを知るためには、「うねり」という現象を知る必要があります。

海の波は、その場で海面が風に吹かれて海面が波立つことで発生しますが、その場でほとんど風が吹いていなくても波が生じていることもあります。

これが「うねり」と呼ばれる現象で、遠くの波が伝わってきたものですが、通常の波よりもゆったりした動きに見えることで油断を誘う、実は危険な現象です。

f:id:megumin1120:20210730111421j:plain

通常の波と「うねり」の比較。気象庁HPを元に作成。

海岸近くの水深が浅い場所で急激に高い波に変化することがあり(専門的には「浅水変形」といいます)、命にかかわる事故につながることもあります。

「うねり」は遠くにある台風や低気圧から伝わってきた波であることが多いのですが、特に夏の土用期間は日本の南の海上に台風が発生していることが多く、注意喚起のため古くから「土用波」と呼ばれてきました。

このところ台風8号によって東北を中心とした広い範囲で激しい雨が降ったばかりですが、すでに南の海上には新たな熱帯低気圧が発生していて、今後たとえ台風に成長しなくても、日本近海に「土用波」を送り込んでくる危険があります。

海に入る機会が増える時期でもありますが、いつも以上に気をつける必要があります。

f:id:megumin1120:20210730113119j:plain

今朝(2021年7月30日午前9時)の天気図。気象庁HPを元に作成。

夏の土用が終わって立秋を迎えても、関東以西では大きく気温が下がるわけではありませんが、東北では本当に秋を感じるような風が吹くことがあります。

仙台生まれ育ちの知人は、「暦の中で立秋だけが暦通り」と言うほど。

そんな「立秋」まで、あと一週間ほどです。