「せり」と聞くと、「せり、なずな…」で始まる春の七草を思い浮かべる人が多いと思いますが、仙台で「せり」と言えば冬のお鍋に欠かせない具材、というか主役です。
しかも、もちろんせりの葉っぱも茎も食べますが、醍醐味はその根っこ。
「え、せりの根っこ食べるの?っていうか根っこってどんなのだったっけ…」、そんな声が聞こえてきそうですが、今週のお題が「鍋」と来たら、元「仙台っ子」としては語らないわけにはいかない、今日はせり鍋をご紹介します!
実は宮城県は、せりの生産量が全国一位。
「仙台せり」のブランド名で流通し、その栽培は江戸時代から盛んだったという筋金入りですが、せり鍋は比較的新しいグルメ。
広く食べられるようになったのはここ10年ほどのことだといいます。
基本的には醤油ベースで、たっぷりのせりと鶏肉(鴨肉の場合も)、そしてお麩やネギ、きのこなどを入れます。
(お麩を鍋に入れるのは、地域によっては意外に思われるかも!)
せりは根っこまで食べるため、しっかり洗って土を完全に落として準備します。
せり以外の具材をしっかり煮て火を通して、せりを入れるのは最後。
さっと短時間だけゆがくように加熱して、いただきます。
せりの葉や茎のしゃきしゃきした食感や爽やかな風味ももちろん魅力的ですが、やっぱり一番の楽しみは根っこ。
野菜特有の甘みとほのかな苦みをぎゅっと凝縮したような、他では味わえない感覚が口の中いっぱいに広がります。
食感は、しゃきしゃきとむにむにの間くらい。
この独特の食感も、一度食べたらやめられません。
せりがどんな場所で栽培されているのか、見たことがない人の方が多いかもしれません。
せりは、畑というより田んぼのような場所で育てられます。
(せりの収穫風景:写真リンク元…名取市観光物産協会HP)
これだけたっぷりの水の中で育つため、綺麗な水が手に入ることが重要です。
宮城県産せりの約8割を担う名取市(なとりし・仙台空港が立地する沿岸の市)では古くから清らかな地下水に恵まれ、せり栽培が行われてきました。
せり鍋の具材となる「根せり」と呼ばれるタイプは、9月から翌年4月にかけてが収穫期。
中でも朝晩の冷え込みが厳しくなってくる11月がピークになります。
寒さというストレスによって甘みが強くなるせり。
朝早い時間、冷たい水の中に入ってせりを収穫してくださる農家の方々には、本当に頭が下がる思いです。
最近は東京でも出すお店が増えてきたせり鍋。
おうちで作れるレシピもネットに多数載っています。
晩ご飯の鍋率が高くなるこれからの季節、皆さんの鍋ローテーションにぜひ加えてください!