みちなるみちのく

東北180市町村を回った筆者が、あなたの知らない東北(みちのく)をご紹介します。

七草粥に納豆汁!?栄養満点、七草の節句(山形)

1月7日は七草の節句で、古くから各地で七草粥を食べる習慣があります。

私も今朝は自宅で標準的な七草粥をいただいたところですが、 

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1月7日に七草粥を食べて無病息災を願う風習は、中国の「人日(じんじつ)の節句」の影響を受けているとされる。

山形県内には、七草の節句に納豆汁(なっとうじる)を食べる地域があります。 

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芋がら(里芋の茎)、根菜、山菜、こんにゃく、油揚げ、豆腐などが入った「納豆汁」(画像提供:農林水産省)

そもそも「納豆汁って何?」という人が多数派だと思いますが、文字通り、納豆が入った汁物です。

根菜類やこんにゃく、油揚げなど具材たっぷりの味噌汁に納豆が入っているイメージで、身も心も温まる栄養満点の食事(ただし納豆が好きでないと食べられない)

納豆はそのまま入れるのではなく、すりばちですりつぶしてトロトロの状態にして入れます。

どのくらい細かくすりつぶすかは家庭ごとに異なりますが、すりつぶすことによって汁となじみやすくなり、口当たりがなめらかになります。

www.maff.go.jp(↑ページ後半にレシピが載っています。ご興味ある方はぜひ。)

「いやいやいや、いくら口当たりがなめらかでも、味噌汁に納豆は入れたくない」という方も多いと思いますが、冬の間、長く雪に閉ざされる地域では、納豆は貴重な保存食でありたんぱく源

かつては家庭で納豆を作っていたところも多く、納豆汁のほか、お餅の上に納豆を載せて食べる「納豆餅」は、山形県内だけでなく宮城・岩手県内でも見られます。

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(納豆餅の例…写真リンク元:世嬉の一酒造HP)

ちなみに、山形県の納豆汁は最近テレビ番組で取り上げられることが増え、知名度が上がってきていますが、山形県全域で七草の節句に納豆汁を食べるわけではありません

山形県内でも主に村山地方(山形市を中心とした地域)で見られる習慣で、そのほか最上地方(新庄市を中止とした地域)ではお正月に、そして庄内地方(鶴岡・酒田など海沿いの地域)では「大黒様の御歳夜(おとしや)」という12月上旬の行事の際に、納豆汁をいただきます。

https://yamagata-jinjyacho.or.jp/wp/wp-content/uploads/2018/12/4257359e7d2c4ba81164a0ca3a49dc8a-1024x683.jpg

(「大黒様の御歳夜」の行事食の例。右下のお椀が納豆汁。…写真リンク元:山形県神社庁HP)

おそらく、保存食として重要な納豆を汁物など様々な調理に活用する文化が先に根付いていて、あとから、そのうちの1つである納豆汁を、地域ごとに様々な行事食として取り入れたのだと思われます。

また、1月7日に納豆汁をいただく地域の中でも、七草粥の代わりに納豆汁にする家もあれば、七草粥と納豆汁の両方をいただく家もあります。

さらに、納豆汁の中に七草を一緒に入れる家もあります。

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厳しい冬を乗り切るための先人の知恵が、郷土の味として受け継がれていく。(写真提供:農林水産省)

最近では、家庭で納豆をすりつぶす手間を省くため、すでにすりつぶされた「納豆汁のもと」や、他の具材も一緒に入った「納豆汁セット」などが山形県内のスーパーで売られている(ネットでも買えます)ほか、文化を継承するために学校給食で出ることもあります。

以前と比べて家庭で食べる頻度は下がっているものの、やはり大切にされている郷土の味です。