東北でうどんと言えば多くの人が真っ先に思い浮かべるのは秋田や山形の一部で生産される稲庭うどん、つまり太平洋側で作られているうどんは普段あまり注目されませんが、今日ご紹介するのは福島県南相馬市の「多珂うどん」です。
「多珂(たか)うどん」は福島県南相馬市原町の「高(たか)」という地域で作られていて、地名と商品名で漢字が異なるのは、商品名を地元の多珂神社にちなんで付けたためです。
ただ、神社の名前がそう書かれているということは昔は地名自体が多珂と書かれていたのかもしれません。
なお多珂神社や多賀神社という名前を持つ神社が東北地方に多く存在しますが、南相馬市の多珂神社には1000年以上の歴史があり、それらの根源であるとも言われています。
南相馬では以前から小麦が育てられ、うどんが生産されていましたが、2011年の東日本大震災とその後の原発事故によって福島県産の小麦粉に使用を一旦あきらめざるを得ず、しばらくは県外産の小麦粉でうどんを作っていました。
そして2014年から再び、南相馬で育った小麦を原料に使い始めています。
もちろん放射性物質検査をして安全が確認された小麦です。
http://www.takaricecenter.co.jp/takarc3.html
多珂うとんの一番の特徴は、つるっとした喉ごしを生み出すすべすべの麺であること。
太麺と細麺がありますが、私が福島の物産館で買った細麺はきしめんのように平たくて、名古屋出身の私にはとても食べやすかったです。
パッケージには馬と人が寄り添うイラスト(寄り添いながらうどん食べてる!器用!!)。
古くからの馬産地であり、今も馬事文化が残る浜通り北部の風土を象徴しているかのようです。
全国的にも有名な相馬野馬追(そうまのまおい)は、東日本大震災のあった2011年には前述の多珂神社でも神事が行われました。
気軽に乗馬のできる場所があったり街中の街灯や車止めなどに馬のモチーフを見かけたりと、今でも馬とともに暮らす文化の面影を感じられる地域です。
多珂うどんをはじめ福島の産物は物産館のオンラインショップは大手のネットショッピングでも買うことができます。
多珂の「珂」という字には、大切な人を思う気持ちや、家族や兄弟に対する愛の意味があります。
震災を乗り越えて作られ続ける多珂うどん、ぜひご賞味ください!