みちなるみちのく

東北180市町村を回った筆者が、あなたの知らない東北(みちのく)をご紹介します。

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どんど?とんど?統一感の無さも愛嬌!善知鳥神社で「どんと祭」(青森)

2022年が始まって10日も経ちましたが、3連休で世間がお休みモードなこともあり引き続きお正月らしいニュースが多くなっているこの頃。

青森県のローカルニュースではありますが、青森市善知鳥神社どんと祭が始まったという報道がありました。

www3.nhk.or.jp

まずもって「善知鳥」が読めない方が多いかと思いますが、この字で「うとう」と読みます。

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善知鳥って何!?という話についてはちょっと本題から逸れるので、この記事の後半に…!

(気になる方はこちらにジャンプ!!)

さて、「どんと祭」と聞けば日本人の多くは「正月飾りを神社に持って行き燃やすこと」を思い浮かべると思いますが、「ちょっと名前が違う…」と感じる人も多いのでは。

実際、「どんと祭」「どんと焼き」「とんど祭」「とんど焼き」「どんど祭」「どんど焼き」…とバリエーションはかなり豊かで、それどころか全然違う「左義長」とか「松焚き祭」という呼び名のところまであります。

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私はかつてこの「正月飾りを焼く行事の名前」の地域分布に興味があって調べたことがあるのですが、どうもあまり地域性がないというか、「〇〇地方はこういう名前が多い」という法則性がほとんど見つかりませんでした。

東北でこの時期に各地を見て回っても、かなり近くにある神社同士で名前が違ったりすることも多々ありました。

ただ、名前はともあれ、この正月行事自体がそれぞれの地域でとても大切にされていることは以前の大崎八幡宮の記事でも書きました。

megumin1120.hatenablog.com

外の人間がわざわざ名前を詮索すること自体、無粋なのかもしれません。

 

さてさて、冒頭で割愛した「善知鳥(うとう)」についてですが…

ウトウは鳥の名前で、チドリ目ウミスズメ科に属する海鳥の仲間です。

背中の羽根は黒褐色、くちばしは橙色で、体長は30センチほど。

なぜウトウに善知鳥という読みづらい字を当てたのかは諸説ありますが、現在の青森市のあたりには、昔、神様が予知能力のあるウトウという鳥を天から地上に与え人々を導いたという伝説が残っています。

善いこと(=徳の極致である神の行い、つまり未来)を知る鳥、ということで善知鳥

冒頭で紹介したニュースに出てきた善知鳥神社は現在のJR青森駅から徒歩15分ほどの街中にあり、この善知鳥伝説が伝わる場所です。

utojinja.sakura.ne.jp

真偽のほどは定かではありませんが、少なくとも青森市は江戸時代初期までは善知鳥村という地名でした。

もちろん、実際の鳥のウトウについても青森県での生息記録が確認されているため、地名の由来についても諸説あります(つまり、ウトウが生息する村=善知鳥村、という説あり)

また善知鳥の漢字の由来についてはそのほか、平安時代に大発生して百姓達を苦しめたと言われている善智鳥(よしちどり)・悪智鳥(あしちどり)の話に基づいているという説もあります。

https://utojinja.sakura.ne.jp/pict/utomono.jpg

(ウトウの画像リンク元:善知鳥神社HP)

そんなこんなで「正月飾りを焼く行事の名前」も「善知鳥の字の由来」も不確かなことが多く、タイムマシンでも無ければ真実はわかりそうにありませんが、でもきっとそれぞれの土地で大切にされてきたものは現代の私たちのDNAにも受け継がれているのだと信じてやみません。