宮城県気仙沼市(けせんぬまし)にある気仙沼港では毎年、冷え込む季節になると神秘的な光景が現れます。
「気嵐(けあらし)」というこの現象は海霧の一種で、例年10月下旬から1月にかけて、冷え込みが強い朝ほど出やすくなります。
海は温まりにくく冷めにくいという特徴があるため、冷え込んだ朝でも海の温度は陸地の温度と比べるとさほど下がりません。
つまり、海が相対的に温かく、陸地が相対的に冷たい状態。
その状態で陸地から"冷たい"空気が海側へ流れ込むと、"温かい"海との温度差で霧が発生するというわけです。
気仙沼港はV字に入りくんだ形をした湾のため、発生した霧がなかなか散らずに港にとどまり続けます。
そのため大規模な霧ができやすく、それが朝日に照らされた瞬間は荘厳な光景になるのです。
全国にはほかにも気嵐が発生する場所がありますが、漁業が盛んで漁船の多い気仙沼港では霧の中を進む漁船の幻想的な姿を見ることもでき、毎年この時期は県内外からカメラマンが訪れます。
なお、気嵐が発生する条件の一つは冒頭でも触れた「強い冷え込み」ですが、他にも風や湿度など細かい条件もあり、狙って撮影をしに行きたい場合はこちらのサイトに掲載される予報が便利です。
最近は観光ツアーの日程に組まれることもあるほど観光資源にもなりつつある気嵐は、地元にとっては「冬の使者」でもあります。
東北では、平地で雪が降るまであと数週間ほどです。