宮城県石巻市(いしのまきし)、東北最大の川である北上川の河口付近に、「落ちそうで落ちない石」で知られるパワースポットがあります。
この釣石神社(つりいしじんじゃ)にある巨石は周囲14メートルほど、崖の中腹から突き出すように鎮座していて、今にも落ちそうに見えるのに落ちない不思議な石です。
今週のお題「試験の思い出」にちなんでお送りするのは、震災を乗り越え受験生を見守り続ける"受験の神様"のストーリーです。
釣石神社はもともと山間部にあり「釣山」神社と呼ばれていましたが、江戸時代に初期に現在の河口付近に移転し、そこの崖に大きな石があったことから明治時代以降「釣石」神社と呼ばれるようになったとのこと。
落ちそうで落ちない巨石が1978年の宮城県沖地震でも落ちなかったことから、次第にパワースポットとして人気が出て、全国から合格祈願の参拝客が集まるようになったそうです。
(以下リンクは宮城県沖地震(1978年)の被害状況。)
その後、2011年の東日本大震災でこの付近は高さ約10メートルの津波に襲われました。
神社の石段をよく見ると、中ほどに青いプレートが付いている段があり、「津波浸水深ここまで」と表示されています。
神社はもちろん周囲一帯が北上川を遡上してきた濁流に飲まれ、多くの被害が出ました。
70人を超える子どもたちが犠牲になったことで知られる大川小学校も、すぐ近くにあります。
そんな中、釣石神社の巨石がまた落ちずに残ったことを知って県内外から復興を手伝う人が集まり、震災の年の暮れには再び受験生を迎えることができたとのこと。
釣石神社の巨石は震災からまもなく12年が経とうとする今も、高台から受験生を見守り続けています。
石段の入り口付近にあるしめ縄のような大きな輪っかは、毎年12月に奉納される、ヨシを束ねた茅の輪。
材料である「ヨシ」との語呂合わせで「よし合格」に通ずるとして、今では横4.5メートル(ヨシゴウカク)、縦3.75メートル(ミナゴウカク)になるよう作られ、さらに縁起を担いでいます。
2度の震災に耐えた圧巻の巨石がたたずむ釣石神社。
ぜひ間近でそのパワーを感じてみては。