みちなるみちのく

東北180市町村を回った筆者が、あなたの知らない東北(みちのく)をご紹介します。

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鬼のミイラに鬼の手形……今日は節分!東北の鬼特集

今日2月3日節分

古くから1年に4度ある季節の分かれ目(節分)のうち、かつて1年の始まりとして重視されていた立春前日の風習が今に残る暦行事です。

今週のお題「鬼」ということで、今日は東北の鬼特集

今まで反響が多かった「鬼」記事とともに、追加情報も交えてお伝えしていきます。

 

まずはここ数日、急激にアクセス数が伸びているのがこちらの記事。

節分が近くなるとよく、「渡辺という名字の人は豆まきをする必要がない」っといった俗説をネットなどで見かけませんか?

これはその俗説の元になっているとされる渡辺綱伝説の、知られざる「続き」のお話です。

megumin1120.hatenablog.com

実は「鬼のミイラ」と呼ばれる遺物は全国各地に見られ、それ自体はさほど珍しいものではありません

ただ、たいていの場合は神社や寺に伝わるもので、村田町のように民家から見つかったというのは特徴的と言えます。

村田町にある「姥ヶ懐民話の里 ふるさとおとぎ苑」では、伝説に登場する渡辺綱と鬼がにらみ合う様子が再現されていて、なかなか迫力があります。

www.town.murata.miyagi.jp

 

続いてはこちら。

岩手県の「手」は鬼の手だった!というお話。

盛岡市民にはおなじみの三ツ石伝説です。

megumin1120.hatenablog.com

岩手県は県の名前自体が鬼由来であるだけでなく、県内各地に鬼要素が満載の土地です。

南部の北上市周辺には「鬼剣舞(おにけんばい)」という、鬼の面(仏の化身とされる)をつけて力強く踊る勇壮な舞いが伝わっていますし、

kitakami-kanko.jp

奥州市にある黒石寺(こくせきじ)というお寺で年に1度行われる黒石寺蘇民祭では、鬼子登り(おにごのぼり)といって、鬼の面を逆さに背に付けた7歳の男の子を大人が背負ってお堂まで登るという行事があります。

www.city.oshu.iwate.jp

まさに鬼だらけ

いずれもこんな簡潔な紹介では消化不良になってしまいそうなくらい濃厚な文化ばかりなので、また別の機会に詳しくご紹介する予定です。

 

最後は先週書いたこちらの記事。

「鬼死骸」という地名が衝撃的すぎてもはや細かい説明がかすんで見えそうな勢いですが、調べれば調べるほと東北という地に息づく鬼伝説の深みを感じます。

megumin1120.hatenablog.com

記事の中で、旧鬼死骸村に眠る鬼が大武丸(おおたけまる)、そして隣の平泉町には兄の悪路王(あくろおう:一説には蝦夷の首領のアテルイを指す)が眠るとされることを書きましたが、最近新たに、息子の人首丸(ひとかべまる)についても情報を見つけました!

どうやら、一関市に隣接する奥州市に、人首丸の墓が残っているようです。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e6dd4ee59d1beb015034488a164f4708/1195048368

dora41.blog.shinobi.jp

上記のブログは2006年の記録で、その当時ですら道しるべも看板もない状態で30分以上トレッキングをして発見したということなので、現在も普通に見に行ける状態なのか定かではありませんが、未知なる東北を紹介するブログを書いている以上、何としても一度見に行きたいものです。

 

今回ご紹介した「鬼」たちは、それぞれ原住民の長だったり、仏の化身だったり、あるいは伝説の勇者の引き立て役として後世に創作されたものだったりと、それぞれ由来は異なりますが、いずれも当時の人たちが「よくわからない怖いもの」を「鬼」と感じていたという背景が関わっています。

現代では「よくわからない」ものの多くが科学で解明されつつありますが、それでも私たち人間が「怖い」と感じるものがなくなるわけではありません。

そんな「現代の鬼」を祓うための節分

今年の恵方である北北西を向いて恵方巻きを食べた人も食べなかった人も、豆まきをした人もしなかった人も、一年の無病息災を願いながら、「鬼」たちに思いを馳せてみてください。